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黒イタリアは好きですか?

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プロイセンの前で見たこと無いくらいふわりと、大切な人を見る眼差しで笑うドイツ。思わず零れたその微笑は俺の心に爪立てる。

ドイツは絶対俺を心のもっとも柔らかいところには入れてくれない。
一番奥の大切な場所はプロイセンだけのモノだと、ドイツは無意識に決めているんだ。
…ずるい。プロイセンはずるい!!
いっつも俺の一番好きな人を持って行ってしまう!!
嫌い、嫌い、大嫌い!プロイセンなんか居なくなっちゃえばいいんだ!!




WW2も佳境に入ってきた。此の侭だと俺達は、きっと負けてしまうだろう。
何時もの俺だったら、白旗を振り上げて連合に、フランス兄ちゃんに口を利いてもらってとっとと敗戦するんだろうけど。
今は、ドイツの為にそんな事は出来ない。
だって、俺はイタリア男だもん!好きな相手の為には頑張るよ!!

俺がドイツを意識し始めたのは、ヴァレンティーノの勘違いから。
あの時はドイツの訳のわからない勢いが怖かったけど、俺はあいつの不器用な優しさにやられちゃったんだ~。
あーあ、こんな事ならあの時の告白受けとけばよかった。
…でも、俺と付き合っても良いって考えたって事は、脈はあるってことだよね!
よーし、俺頑張るよ!!


少し前までの俺は何も知らなかった。
でも、意識して好きな人を見ていれば解る。
アプローチを始めた俺は、すぐに気付いた。
ドイツが。彼の心がプロイセンだけに向かっていることを…。
そして、もう二つ気付いた。
プロイセンはドイツの想いに気付いていない。
そして、ドイツ自身も自分が兄を、プロイセンを欲している事に気付いていないという事に。
なら、まだ間に合う。
俺の思いは殺さなくていいかもしれない。
気付く前に絶対ドイツの心を俺に向けてみせる!!




真面目なドイツにアプローチするには真面目に戦うのが一番だ。
だから、自分的には一生懸命戦った俺は、ドイツに褒めてもらおうと彼の元に訪れたんだ。
なのに、こんな場面を見せ付けられるなんて…最悪。
ああ、どうしよう。心の中を黒い澱が支配しそう。
ドイツが好むのは明るくてちょっとお馬鹿な俺なのに、このままじゃ俺プロイセンに何かしちゃいそう……。


「イタリアちゃん!」

俺にいち早く気付いたプロイセンがドイツを置いて駆け寄ってくる。
嫌がるドイツを撫でていた手をぱっと放し、俺に走り寄るプロイセン。その手を名残惜しそうに見つめるドイツを見た瞬間、俺の苛立ちは頂点に達した。
ドイツに気に掛けられるプロイセン。

…本当に、プロイセンって邪魔だなぁ。
何時ものように笑いながら俺は心の奥で計算する。
ドイツの一番になるには如何したらいいんだろう?

ドイツは俺が困ったら指揮を置いて俺を助けに来てくれる。
     ――でもそれはドイツがプロイセンに絶対の信頼を置いているから。
ドイツは俺が頼めばハグだってしてくれる。
     ――でもそれをドイツがプロイセンにしないのは照れくさく恥ずかしいから。
ドイツはいつもきちんとしていてカッコいい。
     ――でもそれはドイツが俺に弱みを見せないということ。
プロイセンには見せるのに…。

ああ、煩わしい。
彼が、プロイセンが俺のことを気に入ってくれているのは知ってる。
でも、俺が欲しいのはドイツの関心。彼じゃない。そして、ドイツの心を得るには彼が邪魔だ。
……そうだ。俺がずっとドイツの味方をしていれば、兄ちゃんは俺を助ける為にあっち(連合)へ行く。
兄ちゃんは何だかんだ言ったって俺を見捨てない。
俺は、ドイツを裏切る事なく。ドイツが負ける布石を打てる…。

ごめんね、ドイツ。でも、俺はお前の事大好きだよ…。
邪魔者を排除したらまた一緒に居ようね?

ロシアは昔からプロイセンの事を欲しがってた。
今は連合は足並みを揃えているけど、敵が居なくなれば……彼らは絶対に仲違いする。
均衡は崩れる。
そうしたら、俺は手を汚すことなくドイツの隣に立てる。誰も居なくなったドイツの隣に…。
プロイセンには悪いけど、彼にはロシアで幸せになって欲しいな!




2010年5月30日 大阪世界会議発行自家製コピー本より
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