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ピーナッツ

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適度に人通りが少なくて店構えが上品そうで看板も目立たないひっそりとしたたたずまい。
指定された場所にはそんな店があった。

「高そう…。」
「アムロお前今言うことはそれか?」
「今更じたばたしてもしかたないよ。」

周りはすっかり囲まれてホールドアップ状態。

「角を曲がる前に引き返せばよかったか。」
「違う所に追い込まれたと思うよ。殺す気ならとっくに撃ってる。」

変だとは思ってたんだけどどっちか仮病使えばよかったかな。
急に二人そろって呼び出された上にお使いを頼まれた。

「単に邪魔したいだけかと思ったんだが…」
「まぁ。邪魔はしたいだろうけど。」とか話してるうちに銃は取り上げられた。
足首に隠して分も。それからドアが開いて無言で中に入れと促される。

「手下ろしても良いかな。」と聞くと中から
「下ろしても良いですよ。どうぞこちらに。」若い女性の声が答えた。

「どうも。」ブライトが先に入る。
中は薄暗くて他に2・3人しかいないようだ。入り口から見えない奥のほうのブースに人がいる。
金髪。異様にきらきらしてる。?ライト当ててるわけでもないし…なんか変だな。
ぴたっと足が止まる。ついでにブライトの制服の裾を引いた。

「アムロ?」
「えーと…。帰っちゃ駄目かな。」何言ってんだお前はって顔されて

「それはやつに聞いてくれ。」今そんなこと言っても聞いてくれるわけないだろと暗に言われる。
すごーく情けない顔してみてると頭ぽんぽん叩かれた。

「そんな泣きそうな顔されてもなぁ。」泣き落としはやつに使ってみろと声を出さずに言われる。
そろそろ痺れをきらして進むように促される。あー嫌だなぁ。
薄いカーテンのようなもので仕切られたブースに二人だけ通される。
他の人はまわりに待機。薄暗いけど顔はわかる。毛皮のコートその下は何故か赤いチャイナドレス。

赤かよ…。ちゃんと化粧してイヤリングにネックレスに小さなレース付き帽子で顔が半分隠れてる。
でも髪にラメ振ってんだよな…きらきら。ブライトが絶句してる陰に隠れて見ないようにしてしまう。
赤い唇が怖いぞ。

「座りたまえ。」無言で座る。やや暫くしてから
「なんですか。その格好。」
「似合わないかね。」
「似合うと言ったらどうします?」
「う…。」言葉に詰まる。

詰まるぐらいならするなよ…。ブライトの影から
「なんの嫌がらせだよ。」と文句を言う。

「そんなに酷いか?」
「その格好で帰るのか?早く着替えたら。」

「見るに耐えないか?ブライトの影に隠れてこっちを見てないが…。」
正直まともに見たくないので隠れてやり過ごそうとすると急におれの腕をつかんで引きずり出した。
ブライトも巻き込まれた形で椅子から落ちる。

「いったた…。」腕はつかまれたまままた引っ張られる。
「ちょっと痛いって。」
「逃げるのが悪い。」逃げたくもなるわい。

もう片方の腕でブライトの首にしがみ付く。
「うわっ…」どたばたして床に座り込む。
まだ腕を離してくれない。しつこいなぁ。さすがに腹が立ってにらむとまともに眼が合う。

「う…。」上手に化粧してて眉も整えてるし綺麗だけど…。
「セイラさんにそっくり。」と言うと眉を顰めて手を離した。

「アムロ。どけ。」ブライトを下敷きにしてた。
「あ・ごめん。」慌てて退ける。床に座り込んだまま肩をほぐして
「落ち着いたか?」

「うん。」何で女装してるかは置いといて用を済ませて早く帰りたい。
ブライトが預かってた封筒を出してシャアに渡す。中身を確認して
「確かに。」と受け取る。

「じゃ。帰って良い?」帰らせろ。
「酒の一杯ぐらい付き合ってくれ。」とワインを出してくる。
溜息ついて椅子に座りなおしてグラスを受け取る。

「それは何だったんだ。」と聞くと
「領収書。」
「…明細は。」
「ピーナッツ。」ブライトは嫌そうな顔して深く座る。

「そうなるとこれは口止め料。ですか。」
「そうなの?」
「賄賂の領収書人に運ばせて当然写真も撮っているだろう。」

「賄賂って領収書出すものなのか?」
「この場合は受け取りで問題は署名ではなく指紋だ。」
「おれは触ってないぞ。」

「ブライトの指紋はついている。一緒にいるところを撮られているから同罪だな。」せこ…。
「これ飲んだら返してくれるんですね。」
「ああ。ゆっくり味わってくれ。」

やなこった。さっさと飲んでさっさと帰ろうと口をつけると意外とうまい。
よほど高いんだな。勿体無いのでついゆっくり飲んでしまう。

「で・なんでそんな格好してるの。」にっこり笑ってスルーされた。ずるい…。

良い酒飲んで気が緩んだおれはぼーとシャアを見てどうせ女装するならもっと特徴のない方がかえって綺麗になりそうなとか思ってた。
「ブライトが着物着たほうが綺麗かも…。」つい口走るとシャアも
「ああ・なるほど…」と納得してた。

「一度見てみたいな。」とまで言う。当のブライトはむせまくってた。
涙目で睨まれる。ごめん。

そのまま席を立ったブライトは「帰ります。」というのであわてて立ち上がると酔いが回ってふらついた。
腕を取ろうとするブライトと違う方向から引っ張る力にバランスを崩す。
一瞬もこもこしたものに触れたかと思ったらまえから強い力で立ち上がらされた。

ブライトに立たされて
「アムロおまえエリの後ろ側に口紅ついてるぞ。」と言われる。
「え!」見ようとしても見えない。

やばいと騒いでるとシャアがマフラーを持ってこさせて
「これを巻くといい。」と投げてよこす。
ブライトが「貰っとけ。」と巻いてくれた。

「お土産はそんなものでいいのか。」といい素直に店を出してくれて銃は弾を抜いて返してくれた。
店の外は涼しかった。
溜息ついて伸びをする。

「さぁ、帰るか。」
「そうだね。なんか香水くさい。早く帰って着替えたいよ。」

この件は後でセイラさんに告げ口した。


ちなみに部下にはぼったくりバーでぼられたと言う話になってた…。


2009/6
作品名:ピーナッツ 作家名:ぼの