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うそからはじまる

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一体なんの罰ゲームだか教えていただきたい。

「……もう一度言う、竜ヶ峰」

いや、罰ゲームであって欲しい。お願いだから!

「お前が、好きだ」

……なんでそんなに顔を赤らめて言うんですか、言わないで……ください!
僕は静雄さんをそういう目でみれるはずがないんだって……!!!
でも、今僕がここで僕は別に、とか言ったらビルと同じ運命を辿るかもしれない。
つぅと冷たい汗が流れる。僕はどういえばよかったんだろうか。









僕、竜ヶ峰帝人と喧嘩人形と恐れられている平和島静雄さんとは友達まで行かない知り合い、な関係だと思っていた。
はじまりは臨也さんと出会ったときに臨也さんを嗅ぎ付けて静雄さんが現れたときだった。
正臣に平和島静雄は危ない、近づくなと言われていて、僕はこのひとがそうなんだ、とビックリする。
コンビニのゴミ箱はともかく自動販売機まで持ち上げて飛ばせるだなんて思わなくて、目を疑ったと同時に高揚したのは間違いない。
だって僕に全くないものを持っていたから。
驚いたまま改めて静雄さんを見れば、その人は正臣と同じような金髪で、不思議なことにバーテン服を着ていた(あとで正臣に聞けばそれが静雄さんの特徴らしい。デカくて金髪でバーテン服を着ているのがって。すごく分かりやすい)なんだか物凄くカッコいいな、なんて思ったんだ。
でもここにいたら園原さんを巻き込んでしまうかもしれない、そう思って僕は慌てて園原さんの手を掴んで逃げた。
咄嗟だったから正臣は忘れちゃったけど。
そんな出会いをしてからちょっとしたあと、僕は静雄さんと話す機会が出来た。
それは色んな消耗物がなくなってしまったから近くの安いスーパーに買い物に行ったときだった。
あれもこれもと調子に乗って買いすぎて僕は両手で袋を持って軽くふらふらになりながら歩いていた。
そうしたら歩道橋が現れた。もっと歩けば横断歩道もあるけど近いのは歩道橋で、階段もつらかったんだけど早く帰りたかったから僕は歩道橋の階段を登った。
その選択は半分くらい登った辺りで間違いだったかな、ってことに気付いたわけだけど。
はぁ、と息を吐いて休もうとしたとき、近付いてくる馬の鳴き声のような音が聞こえた。
あ、セルティさんだ。そう思って階段から下を覗こうとしたとき、

「あ」

足を踏み外した。
袋を降ろして見れば良かった、と思いながら思わず袋を抱き締めたら目の端でセルティさんのバイクの後ろから思いきり飛んでいる人影が、と思ったときには思いきり強く腕を掴まれた。
正直物凄く痛い。

「お前はバカかっ! ちゃんと前見てろ!!」

背中の衝撃はなかったんだけど耳元で怒鳴られてやっと頭が働く。
僕は静雄さんに助けられていた。
階段の下を見れば慌ててセルティさんが僕の方に駆け寄ってくる姿が見える。
そこでようやく理解した。
セルティさんの後部座席に座っていた静雄さんが、僕が落ちるのを見て、後部座席から立ち上がってセルティさんがバイクを止めるより先に思いきり踏み込んで飛んだらしい。
いや、普通そんなこと出来ないから見てない僕には全くわからなかった。

『大丈夫か帝人!』

流暢にPDAに文字を打ち込んで僕に見せるセルティさんに僕は何度も頷く。
なんだかほっと安堵の息を吐いてるようなセルティさんを見て僕もほっとする。そしたらセルティさんはまたハイスピードで打ち込んで僕に画面を見せてきた。

『何を考えてる! 荷物よりも帝人だろう!』
「セルティの言う通りだ」

至近距離から降ってきた低い声に驚いて見れば、静雄さんが色付きのサングラス越しに僕をじぃと見ていた。そうだ、僕は静雄さんに助けられてたんだった!
静雄さんにもたれかかったままだった僕はあわてて起き上がって静雄さんに思いきり頭を下げた!

「すみません! ありがとうございます!」

頭を下げて、恐る恐る顔をあげると、じぃと僕を見ている静雄さんと目が合う。サングラス越しでもわかる強い目と。
サングラス越しでこれなんだから、サングラス外した状態ならどうなってしまうんだろう。
そんなこと思ってたら思いきり静雄さんに頭をワシワシ掻き撫でられた。

「素直に謝るやつには怒んねーよ。けど、周りはちゃんと見ろ。分かったな」
「は、はいっ!」

その手が思っていたより優しかったから、僕は思わずほっとして笑ってしまった。
そしたら撫でていた手が止まる。ん? と思えば静雄さんに顔を反らされた。ん?
よく分からないけど僕はとにかく立ち上がって買い物袋をもってたちあがる。よりずしっと重い気持ちになったけどまた迷惑かけるわけにはいかないから気を付けて歩こうと思って、また、ありがとうございました。と言おうとしたときだった。

「持っていってやる」

そう言って静雄さんも立ち上がって僕の手からスーパーの袋を両方とも取っていってしまった。
思わず、えっ、と声が出る。
セルティさんを見れば、それがいい。ともう打たれていた。

「え、でもセルティさんとなにか用があったんじゃ」
「いや、用があるのはセルティでその間に俺の家があるから仕事終わった俺を送ってくれてただけだ」
「あっ、お疲れさまです。でも、ご迷惑じゃ……」
「別に。時間もあるしこのくらいだとお前抱えても持ち上げれるぞ」

やってみようか、と言われ僕は慌てて首を振る。てかなんでこんなことになってんだ??
助けられた上に荷物まで持ってもらうなんて迷惑掛け通しじゃ、なんて窺うように見てしまったら、それがバレたみたいで気にすんな、とワザワザスーパーの袋を片手に持ち替えて頭を撫でてきた。
頭撫でるの好きなのかな。
その後セルティさんもいっちゃって僕は静雄さんを晩御飯に誘ってみることにした。お世話になったからお礼にって。
その時の静雄さんが目に見えて動揺してしまったからダメだったかな、なんて思ったけど、食う。と端的に言われたから僕は笑って頑張って変なものを作らないようにしよう、と思った。



それが昨日。
そして今日、また静雄さんに出会った。
よく考えたら出会ったときから挙動不審ではあったかもしれない。
少しぎこちなく話しかけられた。なんだろうとは思ったけど、付いてきてくれ、と言われたからついていったんだけど……だんだん人のいないビルの方にいくから不安になってきた。
もしかして僕は昨日何か粗相をしてしまって、それで何かされてしまうんじゃないだろうか。
さぁっと血の気が引いていくのがわかる。
僕たちは狭い路地に入っていった。

「……ふぅ」

いきなり静雄さんの溜息が聞こえたと同時にドゴォって凄い音がした。
な、に?
ゆっくり静雄さんの伸びた腕の先を見たら静雄さんがビルを殴ってヒビと言うか腕がめり込んでいてぱらぱら瓦礫が落ちている。
な、にごと。

「……竜ヶ峰好きだ」

くらり、と視界が歪んだ気がした。
作品名:うそからはじまる 作家名:秋海