それが何であれ、叶えさせたくなるのは愛ゆえか
よく絡まれるなって、思ったんだ。
彼が絡まれるのは別段おかしなことじゃないけど。
それにしても、絡まれるなって思った。
他の人間ならいざ知らず、彼が、ねえ。
こうゆう、もやもやは早めに解決しといたほうがいい。
裏路地に連れられた彼を追いかける。
俺は気配を殺し、彼らに近づく。
「どうでしたか」
「言ったとおりでした」
「そうですか」
「あと、このようなことが」
「それは…」
「あは!」
「「「「!!!!!」」」」
「そっか!そうか!帝人くん!」
「臨也さん…」
彼が俺の名前を呼んだ瞬間、彼に絡んでいた奴らが逃げていく。
ほんと、彼はいったいどんな教育をしてるんだか。
「そんなに警戒しなくてもいいんじゃないかな」
「します。あなたにしないで誰にするんですか」
「え、そりゃあ、正義感の熱いやつなんじゃないの」
「そうゆう人はこっそりやってきません」
「そうだね。で、これは帝人くんなりの連絡手段なの」
「…あなたに言う必要ありません」
「てことは、鮫のほうか。またへんてこな手段だね。君限定で見ると違和感ありまくりだよ」
「まさか、あなたが僕を張ってたとは思いませんでしたので」
「違うね。これは、まさか俺に用があったの?」
彼が笑った。
艶然な微笑みに俺はどきっとする。
それは17の少年がするにはおかしな笑みだった。
でも、その笑みに俺はひどく興奮した。
彼の望みを何でも叶えてやりたくなるような気持ちになる。
「そうです。臨也さん、僕あなたに会いたくて。あなたなら分かってくれると思いました」
「そう」
「臨也さん。ダラーズのボスとして僕のお願い、聞いて下さいますか?」
作品名:それが何であれ、叶えさせたくなるのは愛ゆえか 作家名:こん