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甘さに溺れて愛を覚えて

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きみのことすきだよ、たぶん、きっと、たぶん

「・・・俺は数年前に学生終わってるような奴だからよぉ、昨今の学生がこんな暇だとは思ってなかったな 」
「ははは、今だって学生は忙しいって!ただ俺はハニーに会いに来るためなら忙しさなんてかいくぐってこれるわけ 」
なぁ、ハニー?首を絶妙な角度でかしげ、ふわりと甘い笑みを浮かべて千景は帝人に覆いかぶさる形で抱きついた。煙草を燻らせていた静雄は ぐ と息を飲み、驚いたように目を丸めて千景を見上げた帝人の手を引いた。慌てて力の加減が出来なかった静雄へ、帝人はびくりと肩を揺らす。
「! わ、るい 」
「あ、いえ。ちょっと驚いただけですから」
大丈夫ですよ、帝人はへらりと笑って静雄に掴まれている手の先をひらひらと振った。静雄は安堵した表情を浮かべながらも、ぎろりとサングラス越しの瞳を千景へと向ける。くすくすと声を出来るだけ立てることなく笑った千景は、帝人に抱きついたまま唇を彼の耳元に這わせた。瞬きをしてくすぐったげに身を捩じらせた帝人へ、千景はにこにこと笑いながらぎゅう、と力を強める。
「ハニー超可愛い、まじでがちで!つか、ハニー細すぎじゃね?何か食べ行こうぜ」
「ほ、細くないです!別に、普通です!・・・静雄さん!」
確かに、と頷いた静雄へも平等に視線を送り、帝人は頬を膨らませた。体が出来上がっていないアンバランスな帝人の体躯は、もじもじと千景から逃れようと振動する。
「・・・ほら。竜ヶ峰が困ってんだろ」
「お、ハニーごめんー。ハニーが好きすぎて思わず」
静雄がやがて、ようやく理由を見つけたとでも言うように千景を嗜めた。耳まで赤くなった帝人から離れ、千景はにこにこと和菓子の上にメイプルシロップをかけたような甘い甘い笑みを浮かべて柔らかく帝人の頭を撫でる。静雄は新しく煙草を取り出し、日をつけるかどうか逡巡しながらも帝人を見つめる。静雄の視線に気付いた帝人はへにゃりと笑い、首を傾げた。静雄はぱちりと音がするほど瞬きを行い、千景は帝人の笑顔を見て胸を抑える。
「わ、わ。どうしたんですか?」
「いや・・・ハニーその笑顔反則・・・やべぇまじヤバかった。理性とかどっか行きそうだった」
よく分からないけど大変そうですね。帝人は眉をひそめて、千景の背中をさすった。静雄はそんな帝人の頭を撫で、気にするな、と呟く。
「・・・で、どこ行くか」
「あ、はーいはーいろっちー提案!ミルキーウェイとか良くね?ハニーに甘い物食べさせたい!」
きゃらきゃらと笑いながら手を上げた千景と、煙草に火をつけ燻らせながら曖昧な返事をした静雄へ、帝人は目を見開いておろおろと視線を彷徨わせた。
「だ、だって ミルキーウェイって 」
「・・・いいな。行くか」
店内禁煙だったっけか。静雄の言葉に肩をすくめる千景と、ポケットに右手を入れる。千景は被っていた帽子をくるくると回し、ふと状況についていけない帝人へ声を上げた。
「ハニー、行こうぜー!パフェ食べさしあいっこ決定な!」
「隣で、しかも大声でどなんな。・・・行くぞ 竜ヶ峰」
手を口に合わせて帝人へ叫ぶ千景と、左手の指で火のついた煙草を挟む静雄を見比べながら、帝人は肩にかけていた鞄の紐を握り、困ったように笑いながらも静雄と千景に誘われるまま、池袋の街に一歩足を踏み出した。 

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(まぁ、これもきっと非日常のひとつなんだし、いいか )

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