名案を思いついたよ
仕事が終わって家に帰ってきて、今日は疲れたからもう寝てしまおうと、静雄は思った。
だがしかし、ベットの上に有り得ない質量があって、溜め息を吐きながら布団を捲ると、そこにはやはり思った通りの人物が居た。
「おい。何してやがる」
「何って、見て分からない?君のベッドで寝てるんだよ!」
「見りゃ分かるが、どうして寝てるのか聞いてんだよッ!!」
「あ、寒いー」
上布団を引きはがすと、恨めしげに臨也は静雄を見上げたがどうやらベットから出る気は全くないらしかった。
「………」
「ねぇシズちゃんー。寒いー。布団返してよー」
「自分で取りに行け」
「えー。ベッドから動くのやだー」
「てめぇ……」
静雄はグッと拳を振り上げかけたが、だがしかし、何だか臨也に構うのも面倒臭くなって溜め息を一つ零すと投げた布団を拾って、そっと臨也の上へと落とした。
「さっすが、シズちゃん!優しいね」
「うるせぇ、黙れ、そして早く帰れ」
静雄はそれだけ言うと、ベットへ腰掛けて煙草を一本取り出す。
「…………ねぇ、シズちゃん。なんか今日、疲れてる?」
そんな静雄の様子を見ていた臨也がキョトンと尋ねた。
「あ?……まぁな。今日は朝早かったから、少し疲れた」
「…………そっか。そうだったんだ。ごめん、気づかなかった」
「臨也……」
珍しい臨也の謙虚な声に静雄は思わず振り返る。
しかし、振り返った先の臨也の行動を見て、思わず静雄は煙草を落としそうになった。
「臨也くん。ちょっと良いかな」
「え、何シズちゃん?」
「何してやがる?」
「え、見て分からない?服脱いでるんだけど」
「や、見たら分かるが、なんで今脱いでるんだ?」
コートからシャツからどんどん脱いでいく臨也に静雄は激しく嫌な予感がしながら尋ねる。
すると、臨也は満面の笑みで笑って言うのだった。
「俺がシズちゃんを身体で癒してあげるよ!!という訳で、抱けっ!」
「ふざけんなぁぁあああ!!!」
思わず叫んだ静雄は臨也に向かって、再び布団を投げつけるのだった。
『苦労人×変態』
「いいか、臨也。そんな簡単に服脱いだり、抱けとか言うんじゃねぇ」
「どうして?俺、シズちゃんにしかしないよ?」
「いや、そういう問題じゃない」