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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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【完全読み切り】憑

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「銀河をすべてこの手につかむ」
 それがかつての野望だった。

 でも、今となっては、それはばかばかしいように思われた。
 「何故この不完全な世界などほしがる必要があろう?」

 「新たな世界…新たな秩序…私はそれを操り、新世界の神となる!」

 #

 ナギサに生まれ、ナギサに育つ。友達…そんなものはいない。彼らは危機に於いて自分を裏切るもの。彼らは、私の駒だ。私の望みのように動けばよい。遊び相手には機械で十分だし、何より、そんなことのために人間関係に神経をすり減らすつもりはない。それは、今までも、そしてこれからも変わらない。
 人間の女には興味は持たなかった。何より、人間本来に宿るべき感情が、何もなかった。欲情するものは、ただ一つ、そのためだけに、自分の手というボードの上で、彼らに動きまわらせる。彼らは、NPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)だと自分では思っているだろう。だが…実際は彼の駒、PC(プレイヤー・キャラクター)に他ならない。なぜなら、自分たちが何気なくしている行動ですら、彼の望みどおりにいっているからだ。
 彼らの癖、嗜好に至るまで何でもコントロールし続けた。機械による強制的な思考回路の矯正。発展途上国の独裁的君主のごとく、軍隊をしつけるような延々とした作業。地面に穴を掘らせては、それを埋めさせ、また彫らせる。

 こうして、彼の手下は、感情を何も持たない下僕になり下がった。

 「マニューラ…ドンカラス…他に何がいるかな」
 自分の世界に、優秀な種以外のポケモンは必要ない。下等な種はどうでもいい。そんな不完全な生命体など、彼の欲するところにはない。

 続いて、湖に住まうといわれるUMAを探しに行く。
 部下たちに、UXIE/MESPLIT/AZELFの三体を探させる。
 そしてその遺伝子から2本の赤い鎖を作りだした。

 後は実行する段。

 しかし、何事も彼の思うようにはいかなかった。

 彼の息子(優劣種を生ませ、自分が優位であることを明確にしようとした)が、彼を裏切った。

 彼は、自分の力を利用して、まさに父親を駒として扱っていたのだった。
 自分の手下は、すべて息子の側へ着いた。

 彼は、呼び出された二匹のポケモンを操った。
 時と空間が乱れる場所に、自分の父親を送り出した。