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いっしょに食べましょう

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鏡があるかのように瓜二つ。
私たちは同種。
一対の裏表。
どちらも真実で虚像なのだ。



起きろ、と云う声にブリングは目を覚ました。
聴いた皆は同じだと云う声はブリングには違って聴こえる。だから、ブリングは自分の声は皆にはこう聴こえるのだと知って不思議な気分だった。ブリングが聴く自分の声と皆が聴く自分の声は違う。そして、それを分かり合えるのはブリングの対であるデヴァインだけだろう。
ブリングを見下ろすデヴァインは少し不機嫌そうだった。ブリングとデヴァインの違いなど髪の長さだけで、あとはみんな同じだと皆云った。しかし、それは皆も同じだ。性別の差は大きいが、同性の対同士は皆似たり寄ったりだ。
目を覚ましたか、と云ったデヴァインとブリングの目が合う。それだけでデヴァインはブリングが起きていると分かった。
起きているなら、さっさとベッドから出ろ。朝食だ、と云いデヴァインはテーブルを指差した。二人分の朝食に一緒に食べるのかと考え、急いで顔だけでも洗おうとブリングは起き上がった。ブリングはデヴァインほど朝は弱くない。なのにデヴァインはいつもブリングより早く起きている。だから、デヴァインは朝いつも少し不機嫌そうなのだ。
簡易洗面所から出るとデヴァインは椅子に座ってブリングを待っていた。先ほどまでは不機嫌そうであったデヴァインは今はただ無表情でブリングを待っている。その違いがなぜ分かるのだと、皆によく聞かれるが、ブリングはなぜと聞かれて答えるすべを持っていなかった。ただ分かるとしかブリングにも云いようがなかった。
いただきます、と手を合わせてブリングとデヴァインが云った。きっと皆は同じ声だと云うのだろう。だが、ブリングとデヴァインは互いに互いの声が違って聴こえると知っている。
不思議なものだと考えながらブリングは今日の朝食を食べ始めた。
作品名:いっしょに食べましょう 作家名:こん