青は何を見る
神威が踊っていた。殺戮の舞だ。血と死体と炎を舞台に、怒号と悲鳴と命乞いをBGMに踊り狂っていた。
これは誰が止めるんだと阿伏兎はぼやいた。
(まさか俺ではあるまい)
しかし、誰がどう見たって神威を止めれそうな者は阿伏兎しか見当たらなかった。
阿伏兎はため息をつき、一度顔を伏せた。改めて顔を上げれば光景はさきほど変わらないままで、阿伏兎は諦めて大きな声で神威を呼んだ。
「たく、ほんと世話のかかる団長様だよ」
「何で止めるのさ」
ニコニコ笑いながら、阿伏兎を見上げる神威に呆れた視線を送れる。
「もうとっーくの昔に用は済んでるのにだらだらと戦場にいたあんたが悪いんです」
「でもさもうちょっと待っててくれたっていいじゃん」
「待ってたら面倒臭いのが来ますから」
「いいじゃん。そいつらも一気に丸ごと殺しちゃえば」
「上にいけば上にいくほど、面倒臭い繋がりとかあってややこしいんですよ」
「ふーん、俺にはまったく興味ないけど」
「あんた欲求が満たされれば何だって構いやしないんだろ」
「まあ、妥協はしないけど」
「ウソつきやがれ」
「ウソじゃないよ。阿伏兎だってしってるじゃないか」
阿伏兎は隣を歩く、自分よりも背が低い団長を見下ろした。そして、神威は阿伏兎を見上げた。
にっこりと神威の顔は笑っているが、青い目は笑っていない。
どこかの辺境の星に似た青い目。
阿伏兎はこの人はまだ成長期で、いつか自分を追い抜かすのだろうかと思い、それはあまり嬉しいことではないなと思った。
「阿伏兎、行くよ」