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じぶんがまわればせかいもまわる

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途端に始まった家の中の騒音はなかなかやまなかった。
曰く鬼ごっこが始まった、曰くけいどろがはじまった、曰く家庭内暴力ごっこが始まった、などとピーチやマルスが言い広めるのでゼルダが戸惑ったりメタナイトが怒り狂ったりドンキーコングが悪乗りしたりと、フォックスにしてみればたいへん迷惑な話だった。
実際には子どもたちはかくれんぼを始めたらしい。教えてくれた、というよりさっきからファルコとフォックスの周りをまとわり付いているカービィからなんとか聞き出したものだ。
ファルコはうっとうしい、と思いながらも振り払えずにいる。なにせ言葉をろくに話せない、メタナイト曰く「赤ん坊と同じと考えてくれ」だそうだ。密かに「乱暴に扱ってみろ命はないぞ」と言う言葉が含み隠されていたような気がしないわけもなく、ファルコもフォックスもカービィを無碍に扱うようなことはない、のだけれど。

「かくれんぼって、隠れて見つからないようにするゲームだろう」
「そうだな」
「これは目立つんじゃないか?」
「カービィがそこに居たいならそうさせておくべきなんじゃないか」「ぽよー」
「見つかったらどうなるんだ?」「ぽよ!」
「・・・カービィ、“かくれんぼ”」
「かぁ、くりぇ、んぅ、」
「“ぼ”」
「ぽよ!」
「「・・・・・・・」」

はぁー、とため息をつくのも何回目か数えるもの億劫になってきたところで、どたばた、とまた周りが騒がしくなった。
ばたーん、と扉が開かれるとテーブルに置いてあった花瓶とティーカップがゆらゆらと揺れて、ファルコとフォックスは騒音の主を見つめた。

「カービィ見っけ!」

野球バットをカービィに向けるネスは嬉しそうに笑い、さて次々、とまたどたばたと廊下を駆けていった。
ファルコとフォックスは過ぎ去った嵐に呆然としつつ、だけどその嵐から遅れてきたリュカに気を取り直す。走り疲れて息切れしているリュカは、ネスさんはりきりすぎ、と小さく愚痴をこぼしたがカービィを視界に入れると、ぱぁ、と顔が輝いた。

「カービィ。ここにいたんだ」「ぽよっ」
「ていうかずっとここにいるぞ、こいつ」
「え、そうなんですか」

リュカはテーブルの上で今にも眠りそうなカービィを見て、結構最後のあたりなんですよ、とファルコとフォックスに控えめに笑った。それを聞いた二人は少しだけ驚いて、あと誰が見つからないんだ、とフォックが聞くと、またネスがどたばだと帰ってきて、リュカに一言告げた。

「こうなったら最終手段だよリュカ」
「・・・ええ?」
「だれでもいいから、リンク呼んできて」


途端に始まった騒音はそれからまだやみそうになかった。
曰く氷鬼が始まった、曰く缶蹴りが始まった、曰く家政婦は見た!夫婦の不倫現場!が始まった、などとピーチやマルスが言い広めるのでゼルダが困惑したりメタナイトが乱心したりスネークが俺が刑事役だと言いだしたりと、フォックスにしてみればいい加減にしてくれという話だった。
ちなみに最終的に見つからないのはトゥーンであり、それならリンクを呼び出せという発言に首をかしげたのはファルコだった。

「あいつならトゥーンを見つけられる理由でもあるのか?」
「リンクはトゥーン探知機なんだ」

ポケモンたちのかくれんぼにつき合っていたリファがピーチに差し出されたロイヤルミルクティーを飲みながら答えた。音も立てずにちまちま飲み進めながら、「というかいまのところリンクにしか分からないと思うよ」と答える。
ファルコはいまひとつのみ込めないリファの説明にフォックスへと視線を投げる。眉を寄せたフォックスは、やれやれ、と呟いた後、知ってたと思ってたんだが、と付け加えて窓の外へと視線を移した。

「トゥーンは風を呼べるらしい」
「・・・フォックス、まさかお前の脳みそまでリファ化しちまったのか」
「真面目な話しをしてるんだが」
「ねぇファルコ。いくらひどくてもオレの脳みそは感染しないよ」
「・・・・・悪かったフォックス。話の軌道修正を頼む」

ちまちまとミルクティーを飲み続けるリファは心外だという表情をしながらそれでも飲むのに忙しいのか、それ以上の天然ぶりを発揮することはなかったのが幸いして、トゥーンは風を呼べること、そしてその風を感じ取ることが出来るのは名前が一緒だからか理由は分からないけれど、今のところリンクだけだという話ができた。

「そんな面倒なことしなくても諦めたらいいじゃねぇか」
「子供心を理解できてないなー、ファルコは」
「残念ながらリファの心理は理解できないぜ」
「風の流れがつかめるだなんて特技、オレも欲しいかもな」

「・・・ごめんなさいリファさん。子供心理解してないのは・・・」
「やめとけリュカ。言うだけ疲れるから」

そんなやり取りが繰り広げられてリファがちまちまとミルクティーを飲んでいる間に、隠れ厭きたトゥーンが愚痴をいいながら出てくるのは数分後のお話。


じぶんがまわればせかいもまわる