無題
「イエロー」
声をかけられたことに、君は気付いていない。距離は縮まらないまま、いつまでもいつまでも、君はオレに微笑み続ける。目の前の少女が、自分に尊敬の念を持っていることは知っていた。人を理解することを恋愛というなら、尊敬が理解から最も遠い言葉だとするのなら、この少女が自分を理解してくれる日はいつか来るのだろうか?
答えは出ないまま。戦うものは、戦いの場に望もうともせずに。
From Red to Yellow
イエローは自分に人の心を詠む力が無いことに安堵した。さすがに、自分が好きな人が、自分に対して兄弟愛のようなものしかもっていないということを知っている。知っていたとしても、好きな人から兄弟愛のような感情しかもたれていないというのを突きつけられるのはしんどい。
「イエロー」
寝ている、と思われているのからか、その声は小さくて、弱くて、なんだか彼らしくない。自分はいま、寝ても居ないのに。能力を使って疲れきったから眠くなった。それは事実だったが、いくらなんでも体力が付いてきたので、それだけで寝込んでしまうことは流石にもう無かった。
自分が、レッドから嫌われていないことは知っていた。どちらかといえば、好かれていることも知っている。ただ、それが自分だけではないこともよく知っていた。
(・・・レッド、さん)
心の中で呟く。貴方の前で帽子を取った、あの日の前から僕は男の子ではなかった。最初はただの憧れで、次は同じ道をあるく者としての尊敬。そして今もっている者は、
癒す者は、自分自身を癒すことも出来ずに。
From Yellow to Red