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リオ・ナユ

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「まともに答えてくれないねぇ?これでも僕はおだやかに聞いてるつもりなんだけど・・・僕にも忍耐の限界てものがあってね・・・?」

限界・・・?そんなもの、逆にあったのか?
ルックは呆れたように思った。そっこう沸点だとばかり。

だいたい現在のこのミューズは思い切り敵地。その敵地に乗り込んでよくもまあここまで堂々と落ち着いていられる。
あきらかに分が悪いのはこちらなのに。いや・・・リオならもしくはあっという間にここいらを破壊しまくってこのナユの親友であった少年の命をかっさらうのは簡単であろうが。
そう考えると確かにリオにも我慢や忍耐という言葉が彼の辞書にあったという事か。

「ルック?お前なんか失礼な事考えてない?顔が気に食わないよ?」

顔に出ていたか!?
ジロリとリオに見られ、ルックはプイ、と顔をそらした。

「ルック・・・そういえばそんな魔法使いがいるという報告は聞いている・・・」

ボソリ、とジョウイが言った。
リオはニッコリと笑うだけ。ていうかこいつ、わざと僕の名前も出したな、とルックは思った。
あきらかに後で警告か恐喝材料に使う気だとルックは気づいた。多分、ここに来たことへの口止めだろう。

「・・・リオさん、でしたけ?あなたがなぜ僕の体調を気遣うのか訳を聞いても?」
「僕が質問しているってのに質問返し?なかなかやるね?安心しなよ。僕はこの戦争に参加はしていない。このルックはただの交通手段だから、気にしなくていいよ?僕はただ単に楽しいと思ったからアレの近くにいるだけだよ?」

交通手段とはなんだ、とルックはムッとしたが、いちいちリオの言う事で腹を立てていてはきりがないのでやはり黙ったままであった。

「楽しいって・・・。では最初にこちら側に興味があれば、こちらにいた、と?」
「まあそうだろうね。ていうか戦争にはほんとに参加するつもりはないから、こちらにいたとしても、やはりブラブラしてるだけだとは思うよ?・・・もういいだろう?いい加減答えてくれないとすこし暴れるよ?」

ニッコリと物騒な事をおだやかに言うリオ。
ジョウイは違うところを見ながら言った。

「・・・。確かに・・・今まで何度か具合を悪くしてますね。この紋章を使うたびに酷くなる・・・。ただ・・・今はもう、使わざるを得ない状況なので、仕方ありません。」
「やはりそう、か。どうやら最近力を使いすぎてるようだね、その様子だと?」
「・・・。それに最近・・・倒れている時によくナユの夢を見ます・・・。だからてっきり・・・ナユに何かあったのかと。」
「・・・連鎖してるて事、か。まったく余計な事を。先を急ぎたい訳?」
「・・・どういう意味です?」
「それは自分が一番よく分かっているんだろう?・・・それと・・・皇王サマは一体何がしたい?」
「・・・何を・・・」
「なぜ親友とやらを裏切ってまで今の状況を作っている?本当の平和?しなくてもよさそうな戦争を長引かせてでも得る平和とは何?親友に辛い思いをさせてでも得る平和とは?皇王サマが欲しかったのは・・・力、だろう?」

ニッコリというよりは、ニタリ、とゆがんだような笑みを浮かべてリオは問うた。ジョウイはまた目をそらせた。

「否定したいのなら好きに否定すればいいよ。ただしこれだけは覚えておけ。」

リオがまた無表情な様子になって机から下り、ジョウイに指差した。
「僕は別に戦争をしようが化け物をどうこうしようが気にしない。好きにすればいいよ、思い入れなどない地だしね?ただ。・・・どんな理由だろうが、どんな事だろうが、俺のモノを脅かす者は容赦しない。俺のモノを奪っていく者は・・・」

リオは無表情なまま、指差していた手をそのままに、今度は人差し指をもどし、黙ったまま親指を下にした。
ジョウイは何も言わずリオを見据えていた。

「じゃあ、ね?仕事の邪魔して悪かったね。そろそろ失礼するよ。お気をつけて。」

まったくといってないような表情から一変、いっそ可愛らしいと言っても間違いじゃないような笑みでリオはひらひらとジョウイに手を振り、ルック、とそれまでずっと黙って立っていた少年に声をかけた。
ルックと呼ばれた少年がため息をついてから杖をかざしたあと、いきなり現れた2人は、今度もまたいきなり消えた。
取り残されたジョウイは椅子に座ったまま、のろのろと肘を机につけ、頭をかかえこみ、しばらくそのままでいた。
作品名:リオ・ナユ 作家名:かなみ