リオ・ナユ
ハッとして見ると、部屋にはリオがいた。
「い、いつの間に・・・?」
「さっき。・・・軍主様は逃げないわけ?」
「って、聞いて?」
「熊もいたよ?多分ナナミでも慰めてるんじゃない?」
「・・・そう、ですか・・・。」
「で?逃げないの?」
「・・・気がつけばダメだって言ってました・・・。一瞬悩んだんですけどね・・・。」
「そう。なんでやめない訳?親友君とも戦う訳だよ?戦い、長引くだけかも?」
「・・・そうですね・・・、僕がひけば戦争自体は終わるかもしれない・・・この地は捕虜の地となって。」
「別に貴様の故郷でもなんでもないんだろ?どうでもいいんじゃない?」
リオはニッコリとして言った。
少しうつむいていたナユが頭をあげて言う。
「ええ。この土地には何の思い入れもありません。どこの領地だとか、誰の領地だとか、そんなのはどうでもいい。ただ僕は自分の範囲にいる人に笑ってもらいたいだけなんです。別にリーダーなんかしたくない。でもそれで仲間が笑えるような日々が送られるのであればしてもいい。そんな程度なんです。でもそれでもそれを脅かすものは敵とみなし、反撃する。それだけです。」
「へえ。じゃあ幼馴染くんは?」
「・・・僕もナナミを悲しませてしまった・・・。泣かせてしまったんだと思う。そんな自分が許せないですが・・・こんな状況の原因のだいぶを占めるジョウイはこらしめます。何もあっちにいかなくとも、絶対どうにかなってたと思う。そしてルカを殺った後でなお戦争を続けようとした。あの会見は忘れません。・・・ジョウイは親友であり、・・・そして、敵なんです。」
ナユは耳をピンとたてながら言いきった。
そんなナユの耳や垂れてる尻尾をニッコリと見ながらリオが言った。
「そう。やはり貴様は面白いね?」
「お、面白いってっ」
「じゃあ、とりあえずもう寝たら?」
「・・・夜這いの人に起こされたんですよ・・・なんか寝そこねた感じです。」
実際目がさえてしまった。
色々あったし。
そして最後にはリオに会えたし。
「いいから寝れば?貴様が疲れためてどうするんだよ。」
「そんな事言われて、もっ!?」
反論しようとしたら引き寄せられ、キスされた。
舌が割って入ってくる。
ドキドキしつつもボーっとなっていると、何か小さな固形のようなものを飲まされた。
何を、と聞こうとしてもリオが唇を離してくれない為、聞けない。そのまま飲みこんでしまい、そしてそのままキスが続けられた。
「ん・・・」
だんだん恍惚となってきつつ、なぜか意識がもうろうとしてくる。
???と思っているうちに、ナユは自分の意識を手放した。
「・・・ゆっくり、寝ればいい。」
リオはぐったりとしたナユを抱きかかえ、ベッドに運んだ。
そして横たわらせて布団をかぶせるとしばらく黙って見ていたがそのまま部屋を出ていった。