二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

君の言葉が聞きたくて

INDEX|1ページ/1ページ|

 
君の言葉が聞きたくて





「ボクの事、どない思てるのん?」
何度も何度も聞かされた言葉。
その度に冬獅郎は力なく首を振る。
「どうも思っていない。」
感情を出せばギンは喜ぶ。
だがそんな事はしたくなかった。
殺気石の牢。
閉じ込められて何日が経つであろう。
腕は後ろ手に縛られ、そこにも霊力制御装置の輪がつけられている。
背中を殺気石の柱に括り付けられ、動くだけでも億劫だ。
だが油断したのは自分だ。
ギンは隊長になった冬獅郎にちょっかいを出しながらも何かとよく面倒を見てくれた。
いつの間にか気を許していた。
それが仇となったのであろう。
夜、隊舎に戻ろうと冬獅郎は三番隊舎の前を横切った。
そこにギンがいた。
「こんな遅くまでお前にしては珍しく仕事していたんだな。」
冬獅郎が軽口を叩くと彼は細い目をすうっと開けて、いきなり冬獅郎の身体を欄干へと押し付けた。
そして低い声で魅惑的に囁く。
「キミ、ボクの事どない思てるのん?」
欄干から身を乗り出して背筋が弓なりにのけぞる。
落ちそうなバランスを必死で支える。
それは今まで見たことのないギンの姿だった。
ぞくり。
背中の毛が逆立つ。
目が異様な光を持っていた。
「なぁ、どない思てるのん?」
冬獅郎は気圧されながらうわずった声を絞りだした。
「お前の言っている意味が分からない……」
声が震えるのが羞恥心を誘ったが、今は何よりギンの自分を覗き込む瞳の光が怖かった。
「ふーん……」
ギンが薄く笑った。
どこか醒めていてどこか思いつめた暗い表情。
彼が身体を元に戻した。
それで落ちかけようとしていた冬獅郎の身体がようやく廊下へとしっかり足をつくことが出来る。
ギンは何か考え込んでいた。
思いつめきってやるせない表情に冬獅郎は胸をつかれた。
彼はギンの肩に手をやると、その顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?市丸……。今日のお前はどこか変だぞ?何かあったのか?」
「何か、ね……」
ギンは皮肉気に笑った。
「何かあったのかもしれへんなぁ……。」
彼は冬獅郎をよどんだ瞳で見た。
変わらない。
接すれば接するほど彼の清廉さが伝わってくる。
自分でも彼に対する感情が分からない。
ただ、もどかしい思いでいっぱいだった。
自分は彼のように清廉な生き方をしてきてないし、する気もない。
そんな自分を彼は何と見ているのか。
冬獅郎は聡い。
自分と同じ天才と言われてきた。
だからこそ、心の奥が分からない。
分からなくてもどかしい。
「市丸?」
再び彼がギンの顔を覗き込む。
「俺が何かしたんなら謝る。でも調子が悪いなら卯ノ花隊長に早く診てもらえ。いつまでも此処に立っていても仕方ないだろう?」
「そうやね……。」
ギンは頷いた。
このままでは解決しないのだ。
それならば……それならばいっそ……。
「日番谷はん。」
彼が呼ぶと冬獅郎は顔を上げた。
背筋が伸ばされる。
ギンはぎゅっと拳を握った。
それとその拳が冬獅郎のみぞおちに食い込むのが同時だった。





コメント
ギンヒツです。
この後、大人向け表現が出てきますが、それはサイトの方で販売している同人誌「君の言葉が聞きたくて」のみになります。
良かったらサイトの方にも遊びにいらしてくださいね。
お待ちいたしております♪