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Warning

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久しぶりに仕事をすると疲れる。と言うか何であんなに仕事溜まってるんだよ〜。

「さぼったな…。」
「傷心の総帥に無理はさせまいと言う皆の心遣いで。」

「さぼりじゃないか…。」
「きみがいないのが悪い。」
「開き直るな。」毎日毎日残業しても終わらない。

「これだけ溜まるともうどうにでもなれと思うぞ。」
「そうもいかないだろう…。」地道に終わらせるしかない。仕事のことで頭一杯。
毎日よれよれ。ベッドに入ると直ぐ意識が無くなる。

永遠に終わらないんじゃなかろうかと思うぐらい溜まってた書類の山がやっとなくなってきたら今度は出張だ。

「おれも行くの?」
「暴れだされないよう付いていてください。」

「殴っていいならついてくけど。」
「顔に傷つかなきゃいいですよ。」

「…ほんとに殴るよ。」
「お好きにどうぞ。」

「だって。」いつものように総帥のデスクの前で打ち合わせしている。

「きみたち…。毎回目の前で話すことじゃないだろう…。」
「隠れて打ち合わせすると怒るじゃないですか。文句ばっかり言わないで下さい。」
「駄目なら留守番していたいんだけど。」

「わかった。殴られないようにすればいいんだろう。」
「うん。宜しく。」
呆れたようにナナイさんに言われる。

「何故殴られるのが前提かなんてことは…。」にっこり笑ってみせる。
「聞くと情けなくなりそうですね。はい。止めときます。」

「今更これに夢なんか見ないだろうけど…。世間体は守らないと。」すでにこれ呼ばわりだ。
「結構色々な噂が流れていますから。」
「そうみたいだね。」

「どんな噂だ。」
「一番流布してるのが妻が亡くなったので愛人が戻って来たと言う。なんか守るべき世間体があるのかなあ…。」

「そんなに大体的に流れていませんから。まだ守らなきゃいけない程度には表向きと言うものが在ります。」
シャアの方を見て「良かったね。」
「…辞めたくなってきたぞ。」

「面と向かって言うやつはいないだろ。ほっとけ。仕事の方が優先。どうせ何やっても文句言うやつはいるし。いざとなったら黙らせれば良いじゃないか。」

「怖いのでにこやかに言わないで下さい。少なくても秘書課の女性陣は味方ですから。」
「女性は見切るからねえ。」

「帰ってきたら仕事の進みが違うので。もうそれだけで十分です。」
「ありがとう。」男共はそうはいかないからなあ。

「何か言われているのか?」
「まあ。多少はね。廊下ですれ違った時とか。おれは普段執務室にこもっているから今のところ実害は無いよ。」難しい顔してる。

「実害があってからでは困るだろう。」
「まあね。集団で来られるとちょっと。逃げ足には自信があるけど。」脳味噌筋肉な連中の相手はしたくないなあ。

「綱紀粛正。少ししめましょう。」
「人も口に戸は立てられないよ。なるべく殺さないようにするけど。身に危険が迫ったら実力行使させてもらうよ。」

「武器はいるか?」
「いざとなったら奪うさ。」煽ることになるからしたくない。

ナナイさんに向きなおつて
「大丈夫。心配要らないよ。」溜息ついて
「暇にさせているから良くないのでしょうね。少し全体のスケジュール見直させます。」

「見かけにだまされるような粗忽者には良い勉強だろう。」おい。
「褒めてないよ。」
「お手柔らかにお願いします。」真顔で言われてしまった。

「だから冗談ですって…。」
「今のは冗談に聞こえなかったぞ。」
「ええ。」二人して言わなくても…。

そりゃ腹は立ててるけどそんなに人の事危険物扱いしなくてもいいんじゃないのか。
溜息吐くと頬を軽くつねられた。

「はいはい。大人しくしてるよ。」
「荒事はわたしに任せなさい。」
「それも心配なんだけど。」

「きみの力は私を守るために使うのだろ?」
「さすが乗せるの上手いな。でも身を守るのに力を使う必要は無いよ。」

「では何だ?」
「テクニックだろ。話術とか護身術とか射撃とか。ナイフも得意だぞ。」ふーんとばかりになにやら不穏な雰囲気をかもし出して人の手を取る。

「それなら私に見せてみろ。他のものに見せるなど勿体無い。」
「その言い方…。」なんかスケベったらしいんだけど。睨んでると視界の角でナナイさんが部屋から出て行こうとするのが見える。
視線を向けると軽く手を振って逃げてゆく。痴話げんかには関わりたくないと。

「ほら。また呆れられるような事言うから。」
「賢明だな。」腰に手を回して抱きこむ。
「あなたも見習ったら。」

「心配なら見張ってれば良いだろう。」にやついて言わないでくれ。髪を梳きながら
「見張りなんか必要ないだろ。あなたを信じてるよ。」しばし無言で見てるなと思ったら
「なるほど…。」

「何?」
「テクニックね。」
「ちゃかすな。本気で言ってるんだぞ。」
「褒めているのだが。これなら心配ないだろう。だが部屋から一人で出るな。」あのねー。溜息。

「まったく信用無いな。少しは信用してくれ。」
「信用してないのでは無く心配しているのだ。」
「丸め込もうとしてるんだろ。」
「わたしも信用されてないな。」

「仕事してくれれば信用するとも。」見事な相互不信だな。笑える。くすくす笑い出しながら
「心配しなくても一人にはならないよ。」と言うと怪訝な顔して
「何故笑う?」

「お互い信用無いなと思って。」首をかしげながら
「わたしを信用しているのだろ?」
「基本的にはね。」

「では…。おそらく信用して無いのではなく恐れだろう。」
「ああ…。なるほどそうだな。」それぞれの恐れが不信を招くわけだ。

「では理解した所で仕事に戻ってください。」
「…もう少し相互理解を深めた方が良いのではないか?」
「勤務中だよ。」

「家に帰っても構ってくれないじゃないか…。」
「もう少しで休めるようになるから待て。」
「それなら出張中でも…。」半眼で睨みつける。

「スキャンダルのネタ提供するのはごめんだ。殴るよ。」ぎゅっと抱き締めて顔をうずめる。
「今更スキャンダルの一つや二つ…。」机の上からペーパーナイフを取って刃先を確かめてくるくる回す。

「お望み通り腕を見せようか?」殺気を感じたかぱっと離れる。
「髪を切らないでくれ。」

「顔に傷つけずに髪だけ切り落として見せるのに。残念。」ペーパーナイフを机の上において下がる。

「刃は潰しておこう。」
「最初は無かったんだけど使い辛いんで砥いたんだよ。手を切らないよう気をつけて。」

「取扱注意だな。」含む所ありだな。
「そ。」
「精々肝に銘じよう。お茶を入れてくれ。」

「はい。」

キッチンに下がると息を吐いてるのが感じられる。脅しすぎたかな?
ま、たまにはいいか…。


2007/1


作品名:Warning 作家名:ぼの