おわりのあとで
好きとか嫌いとか
そんなもので割り切れないし
割り切ろうとも思わない
気付いてくれてありがとうとか
そんな事恥ずかしくて言えるかとか
思い出しては赤くなる顔をどうにかしたいのだけど
「ゼロス」
「どしたの、ハニー」
ばさ、と
肩にかけられる外套
「行くぞ」
「へいへい」
同じものを纏ったその赤は
すたすたと歩いていく
世界が許してくれるまで
まだまだ時間がかかる
誤解だと弁解したところで
無駄だろうとそれを後回しにしたツケだと
あの時の彼は話していたが
仮に自分がその立場でも同じ行動を取っただろうし
恐らく他の奴らでも同じ行動を取るだろう
神から愛されたあの少女は判らないけれど
それでもまたこうして
旅が出来るようになった事は喜ばしい事で
早く世界が落ち着けばいいと思う
「……そうさ、御子なんて俺たちだけで充分だ」
「ゼロス?」
「なーんでもありませーん」