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人はこれを恋、と呼ぶのだろう

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…最近、やたらと視界に入る草食動物がいる
沢田綱吉…つい此間まで群れにすら入れなかった少年は、やっと自分の居場所を確保したようだ
最近では、笑っている姿をよく見かけるようになった
群れに囲まれて楽しそうに話す姿をつい、目で追ってしまう
―いつもなら咬み殺すはずなのに
グッ、とトンファーを握っても手に力がはいらない
咬み殺そうと踏み出しても脚が地に縛り付けられたように動かない
(…こんな感覚、生まれて初めてだ)
あの子が笑っていると、心がほんのり温かくなる
あの子の怯えた姿を見ると、イライラする
経験したことのない感情が次々と噴き上がる毎日
群れの中でしか見せないあの子の笑顔がとてつもなくいとおしくて、そして哀しくて
(僕の前でも、笑ってほしいのに)
次第に、僕の心を占める彼への感情
楽しい狩りの時間でさえ、あの子の笑顔が頭から離れない
…不愉快だ
自分が自分でなくなっていくみたいで気持ちが悪い
あんな草食動物に自分が振り回されるなんて…気に食わない

ねぇ、沢田綱吉…一体僕に何をした
日に日に増す不快感
彼に出会う度積み上がる、どろどろとした感情
これは一体何なの?鬱陶しくて仕方がないよ
いっそ、本人に聞いてみれば――

ピンポンパンポーン…
『2-A 沢田綱吉 至急応接室に来い―必ず1人で』…
きっと、今の放送で慌てて来るだろう彼を想像して笑いが込み上げる
「どうしてもらおうか…」
あの子の驚く顔、怯える姿…考えるだけで口元に笑みが広がった
こんなに愉しい事は"狩り"ぐらいだ
「!」
あぁ、そうか…この感情は――

コンコンッ
控えめに鳴ったノック音はこれから始まる未来への合図
「さ、沢田です…」
震える声で名を告げた草食動物が"狩り"の対象
「入って」
覚悟しなよ、
僕にこんな感情を植え付けた代償は高いんだから―
「よく逃げずに来たね、沢田綱吉」

さぁ、始めようか…