【ノマカプAPH】遠回しのことば【日←湾】
分かっています。貴方にとって私は「特別」じゃない。
でも、私にとって貴方は「特別」になってしまいました。
老師の家に遊びに行った時、いつだって私は貴方を探しています。
どこからか「湾さん」と呼ぶ落ち着いた声が聞こえるんじゃないかと耳をそば立てたり、漆黒のまっすぐな髪の毛がどこかに見えるんじゃないかとキョロキョロしたり。
一度だけ聞いたことがありましたね。「恋とはどういうものか」と。
貴方はいつも遠回しに物事を言う癖があるから、それを精一杯真似して、遠回しに思いを伝えたつもりだった。
きっと貴方は、私がその問いかけをするずっと前から、私の気持ちに気付いていたのでしょう。
いつものように、そっと私の頭を撫でて、
「きっといつか答えを出してくれる人に出会う日が来ます。」
と微笑みました。
その相手は、貴方ではないのですか…?
「貴女の幸せを願っています。」
そんな言葉はいりません。
貴方の隣に並ぶ権利を、私にください。
【終】
作品名:【ノマカプAPH】遠回しのことば【日←湾】 作家名:千草