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この世界の中で君が僕の存在証明

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憎しみは愛情よりも強い感情。

そう、だって憎しみは何よりも強い情熱だから。
憎しみを宿したシズちゃんの目はひどくキレイ。
全身全霊で殺意を向けられた瞬間、俺の頬が緩むのを感じる。


(ああ、今、シズちゃんの頭の中は俺でいっぱいだ)


ああ…今、シズちゃんの中で俺は生きてる。
なんて、幸せ。

もっと、もっと、もっとだよ、シズちゃん。
もっと俺を憎んで。
その意識を、感情を、すべて俺に向けてよ。
まだだよ、まだ足りない。
その目だけで、俺を殺せるくらい俺を憎んで。


「い~ざ~やぁあああ!!」


叫び声と共に勢いよく向かってくる自動販売機。
シズちゃんの性格そのままに突進してくる自動販売機を軽く避けながら、シズちゃんとの距離を詰める。
ワンパターンのように繰り出される拳も最小限の動きで受け流して、今度は俺が隠しナイフをシズちゃんの喉元へ押し当てる。


「…っ!」
「チェックメイトってね。」


身長差からどうしても見上げる形になってしまうのはあまり好ましいことではないけど、自分よりも背の低いヤツに負けた時のシズちゃんの屈辱的な表情は好きだからまぁ良しとする。
シズちゃんの憎しみを煽るように、笑顔を深くして甘い声色で愛を囁くように言葉を紡ぐ。


「ねぇ、シズちゃん。シズちゃんは俺のこと嫌い?」
「ああ、殺してぇくらい嫌いだな。」
「そう。俺は、俺がシズちゃんって呼ぶ度に怒る顔も、俺にナイフで殺されそうになってるのに命乞いもせず、逆に屈辱に満ちた表情で嫌いだと吐き捨てるシズちゃんの表情も好きだよ。」
「この、変態」
「あ、今、イイ顔」


そう。だって俺を殺そうとする瞬間、俺はシズちゃんのためだけに存在し、シズちゃんは俺を殺すためだけに存在しているのだから。


俺を殺せるのは、シズちゃんだけ。
誰よりも強く純粋に俺を憎んでいるから。
ねぇ、早くその愛よりも強い憎しみという感情で俺を殺して(愛して)。