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みとなんこ@紺
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ペーパー再録_4

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*暑すぎて茹だる(←※タイトル)





「あぢー…」
「…大丈夫?兄さん」
「・・・微妙・・・」
 歩く、というよりこれは現状足を引きずる、という状態ではなかろうか。アルフォンスは既に色々なものを取り繕う余力もなくなっているらしい兄を横目でそっと見下した。
 もはや意識も朦朧としているらしい兄は、機械鎧をあまり人目にさらさないようにか、この激しい東部の太陽の下でも長袖で通している。しかも色は黒。常も色々あれだが、今は別の意味で視線も熱も集め放題だ。
 だがそんな視線も、既に目的地で涼む事に心を飛ばしているらしい兄にはさっぱり届かなかった。まぁ、無理もないけれど。


 しかし実際のところ、その兄の目論み(空調目当て)は、この異常気象の猛威の前で脆くも崩れ去ることになるのだが。
「・・・なんっでこんなに暑いんだよ・・・!」
「あー・・・なんでだっけ。もー思い出す気力もねぇな・・・」
 涼しさ求めて辿り着いた東方司令部。

 しかし、待っていたのは『調整中』の無情すぎる3文字。

「・・・なんか昨日めっちゃ暑かったんだけどよ。暑さに耐えかねた連中が勝手に設定弄ってぶっ壊したらしくてな…」
「あー・・・」
「暑いのも耐えるのは司令部までーって思って来た連中が片っ端から沈没してて」
「おー・・・」
「壊した連中は現在中庭で鷹の目に身も凍るような思いをさせられてるはずで」
「うん・・・」
「ちなみに暑さにキレた誰かさんは整備部の連中に回路図とか出させて中に混じってどーにかしようと珍しく奮闘中…」
「・・・・・・。」
「兄さん?」
 そこまで聞いた兄は、むくりと起きあがると、のそのそとした動きで「手伝ってくる…」と司令部の奥へと向かった。

「・・・珍しいな、大将」
「・・・たぶん、背に腹は替えられないんじゃないかと」
 ああ、何かこう、気持ちは判る。こうも暑いと何をするにも気力が萎えて。
「…平和で何よりだが、この暑さが続くのは勘弁して欲しいな…」



 ちなみにその後、2人国家錬金術師の尽力により、早急に事は解決したのだが、いつも大概壊す専門の2人が役に立ったと影で微妙な褒め称えられ方をしていたのだが、一部の努力によってそれは本人たちの耳には入らずに済んだ、らしい。






作品名:ペーパー再録_4 作家名:みとなんこ@紺