小説PSU EP1「還らざる半世紀の終りに」 第1章
笑顔でぶんぶん手を振りながら、イチコたちは去ってゆく。その影が見えなくなるまで見送ってから、オルハはがっくりと肩を落とした。
「……マズイ」
口から絞り出すかのように呟き、そのままがっくりとうなだれ込む。
今、自分がガーディアンズの任務で動いている事は悟られずに済んだ……と思うが、ここで目撃されてしまったのは非常にまずい。
口止めはしても、その理由を明かせない以上、彼女は重要な事だとは思ってもいるまい。ふとした拍子や酒の勢いなどでポロッと話してしまうのが人間というものだ。
彼女はまだ、自分がガーディアンズの任務で動いている事を知られるわけにはいかない……。
「カマイタチ」に、グラール教団が関与している証拠を掴むまでは。
作品名:小説PSU EP1「還らざる半世紀の終りに」 第1章 作家名:勇魚