二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

家族交換

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 

「あのね、蓮二これを弦ちゃんのお兄ちゃんに渡せるかしら」
そう言って俺に似た顔が綻んで顔を少し赤くして言う、自分でわたしなよと言うとさらに顔を赤くした。俺の姉は弦一郎の兄が好きらしい。俺もよくしてもらっているし凄くいいひとだ、俺は兄が欲しかったと弦一郎に言うと弦一郎はお姉さんがいるではないかと間抜けな事を言う。姉と兄の違いがおまえには解らないのか、兄の方が断然いいにきまっている、男同士の話が出来るし気兼ねない、女と言えば化粧品の話か洋服の話か男の話しかしないような生き物だ。女系家族の俺は心底思う兄が欲しかったと。
だから一度だけ家族を交換した、弦一郎のお兄さんにいったら腹を抱えて笑ったあとじぃさんに頼んどいてやるよと快く頼み役を引き受けてくれた。
「弦ちゃんが1日うちの子になるの?」
姉は少し浮かれたようにいったどうせ弦一郎からお兄さんの事をききだそうとするつもりだろうから俺は弦一郎に姉の質問には適当に相槌をうっておくようにと耳打ちしたが弦一郎は最早まったく俺の言葉の届かぬとこにいるらしい姉の投げかけに口をパクパクさせている。このムッツリめ、俺は背中をグーで思い切りたたいてさっさと弦一郎の家まで戻った。いいや、今日1日俺は真田蓮二!あっちは柳弦一郎だ。
「た…ただいま帰りました」
「お、蓮二、今日は俺の事お兄ってよべな」
「はい」
「敬語もいらない」
ほら、じじぃに挨拶してきな。と背中をおされて部屋に入るとそこには真剣な面もちで正座で座る弦一郎のおじいさまがいた。そこに座りなさい、低い声で言われ俺はその冷ややかな畳みへ正座で座る。そこから一時間弦一郎が普段やっていることの説明をきく。足がじょじょに痺れていく中で未だ女子のなかでまごまごしている弦一郎を想像するとさっき殴ったぶんだけでは足りないと思った。


蓮二が家族を交換しようと言った提案をお兄は聞き逃さずじじ様に頼んでやるとニヤニヤ顔で了承した。きっと自分が面白いと思ったのだろう。
俺は早速荷物を纏めさせられ蹴り飛ばされるように家を追い出された。蓮二の家についたらまず先に蓮二のお姉さんが俺を出迎えてくれる。タンクトップに下はスウェット姿、濡れた髪。俺はそんなラフな格好にぐらぐらした。
「…」
「痛!」
背中に衝撃が走り後ろを振り返るともう蓮二はそそくさと玄関をでるところだった。「今日は弦ちゃんは私の弟なのね」
「はい」
「敬語じゃなくていいよ?」
「…う、む」
まったく、蓮二のお姉さんは苦手だ。いい香りがするし優しいし、顔が蓮二に似ているから余計。あまり目を合わせないようにして玄関から一歩足を進める。脱いだ靴を揃えると一々誉められた。うちでは当たり前の事がそうでない、なんだか不思議だと思いながらお姉さんに背中をおされリビングまでたどり着いた。
「お兄ちゃんの事はなんて呼んでるの?」
「お兄とよんでいる」
「じゃあ私の事もお姉って呼んで」
ね、そう言って蓮二と同じ顔がウィンクをした。ここにいては心臓がいくつあっても足りない気がする。俺はお姉と一言呟いて早く自分の家に帰りたいと思った。


「じじぃの説教終わり?」
「うん、足が痛い」
「ははは、弦はそんくらい平気な顔してるぜ」
ドエムじゃあるめぇし、部屋で休んでな。とケラケラ笑うお兄は俺の頭をぐしゃっと撫でて自分の部屋に戻ってしまった。
弦一郎の部屋に入るとだだっ広く畳みと押し入れと机があるだけだった。中学生のくせにこんな老人の部屋みたいで弦一郎がじぃさんになった時の事を考えると部屋には何もなくなってしまうんじゃないのかと思った。
机の上に立てられている写真たてには昔にとったテニス部の集合写真だ。まだ髪が長い自分がいい顔で映っている。前髪がそろそろ切らないとまずいだろうか、と思いつつ自分の髪を触りながら写真に映る弦一郎をみた。あまり変わらない、相変わらず弦一郎は弦一郎だった。
「れ〜ん。お袋に買い物頼まれたから一緒にいこう。」
「う、うん、いまいく」
急に大きな声で呼ばれたものだから俺は驚きながらもたどたどしく返事をした。ナチュラルに兄弟ができているきがする。部屋を出るとお兄は「何ニヤニヤしてんの?」と言うから知らず知らずに顔がにやけてしまっていたのに気付かなかった。
近所のスーパーにいくというのにお兄は車を出した。うちの買い物の量はんぱねぇからと笑う。よく笑う、弦一郎と似た顔でよく笑うから弦一郎も素直に笑えばかわいいだろうにと思った。
「あ、」
もうスーパーにつくと駐車場には弦一郎と俺の姉が買い物袋両手に立っていた。
「よ、弦一郎くん」
「お兄…」
すっかり俺の兄になりきっているお兄さんはいつも弦と呼ぶのに弦一郎くんとわざとらしく手をふった。俺のお姉と言えば急な弦一郎兄の登場に目を丸くして弦一郎の影に隠れた。
「あ、弦一郎くんのおねーさん?こんちわ」
手をふるお兄は横目で弦一郎の反応を楽しそうに見て俺の肩を抱いていつも蓮二がお世話になってます、などと言うから弦一郎はふてくされてお姉!早く帰ろうと腕を引っ張っていってしまう。姉はいつまでたってもお兄さんから目が離せないようでつったっているし。まったく、俺以外みんなが子供に見えて仕方なかった。
「お兄さん…」
「ははは、少しからかいすぎたかな」
お兄さんは「あ、」と漫画のように手をたたくと怒ってる弦一郎の手を掴んで送ってくから、買い物手伝ってと頼んだ。
俺も「しっかりしてよ」とぼけっとしてる姉の腕を掴んでひっぱった。お兄さんは弦一郎の横を、俺は姉の横につくとやっぱりこれがしっくりくると俺も感じたし弦一郎もあっという間に期限が治ったようだった。



「家族交換、1日で終わりだよね」
買い物も手が多かったおかげかすぐに終わり、二家族分の買い物袋を車にのせ運転席には勿論弦一郎のお兄さん、助手席にはちゃっかり姉が座り、後部座席に俺と弦一郎が乗った。
お兄さんの質問に俺は「はい」と言うと別に兄弟ごっこが終わりでも敬語に戻さなくていいのにと笑うからなんだか急に恥ずかしくなって顔を伏せた。弦一郎は弦一郎で相変わらず俺の姉をお姉と呼んでしまうらしく俺に申し訳ないと頭を下げるものだから「ああ糞、最初はあんなにまごついていた癖に」と思いながらまた横から殴る。
姉と兄同士前はいつの間にか盛り上がっていたから俺は弦一郎に俺の姉さんと兄弟になった心地はどうだったかを聞いた。
「む…なんだか、どきどきした」
「なに…?まさかおまえ俺の姉に?」
「だだだ断じて違うわ!!」
顔をぐわっと般若のようにして真っ赤にする弦一郎はあわあわして言葉にならず俺は少し苛立ちながら前の二人に気付かれぬように弦一郎の手を握った。
「なんだ、おまえが俺以外にどきどきだなんていけないな。」
「ち!!違う!!そう言う事ではなくてな!!」
ならなんだと言うんだ、と眉間に皺を寄せると弦一郎はチラチラと前の二人を気にしながら耳をかせ、と小さな声で言ってきた。俺は二人にバレたくない事なのかと耳を弦一郎の方に傾けるとこそこそっと弦一郎がいった。
「お姉がおまえにそっくりで、だ」
作品名:家族交換 作家名:Rg