二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

昼食ラプソディ

INDEX|1ページ/1ページ|

 





「帰ってきたぜー、ベルナルド」

「やぁ・・・おかえり、ハニー。悪いんだが、もう少し待っててくれないか?」

「おう、分かった。お仕事頑張って、ダーリン」



ジャンさんと2人でいつものようにデンバンの見回りを終えてホテルに帰ってきた。
ジャンさんとの街の見回りはとても楽しいから、本当はずっと一緒に見回りをしていたいくらい。
ホテルに帰った来た俺とジャンさんは報告のためにベルナルドの部屋に直行する。今日はジャンさんの希望で昼食を取る前にホテルに戻ってきた。
報告のためにベルナルドの部屋に入ると、ベルナルドは相変わらず忙しそうに電話で対応中のようだ。



「ソファーに座って待ってようぜ、ジュリオ」

「はい、ジャンさん」



ジャンさんに促されて、すぐそばのソファーに移動する。
やはり午前中だけとはいえ、街中を歩き回って疲れたのかジャンさんは座った瞬間軽くため息を吐き、深くソファーに座った。
ジャンさんの隣に腰を降ろしつつ、すぐ隣にあった電話でフロントに電話をかけようと手に取る。



「コーヒーで良いですか?ジャンさん」

「ん?ああ、わりぃな、ジュリオ。あ・・・!ちょ、待てジュリオ!」



フロントに電話をかけようと受話器を上げると、ジャンさんに呼び止められたからジャンさんの方を振り返る。ジャンさんに呼ばれるとすごく嬉しい。



「はい、なんですか?ジャンさん」

「昼飯、もうここで食わねぇ?これから飯食いに行くの面倒くせぇし・・・」

「はい、ジャンさん。だったら、昼食もこっちに運ばせます」

「ん、サンキュ。サンドウィッチとかで良いから。あと、コーヒーは3人分頼むな」



嬉しそうなジャンさん、すごく可愛い。
俺に笑顔を見せてくれるジャンさんがすごくキラキラしてて、俺も嬉しくなりながらフロントに注文する。
少しすると昼食のサンドウィッチが運ばれた。
テーブルの上に並べられるサンドウィッチにジャンさんは嬉しそうな顔で見つめ、ウェイターが出ていった後、徐に仕事に勤しむベルナルドに声を掛けた。



「おーい、ベルナルドぉ!昼飯食べよーぜー?」

「ああ・・・すまない、俺はまだ手が離せないから先に食べててくれ・・・」

「お前、そんなこと言って、どうせそのまま昼飯食べない気だろ?ただでさえ食べる量少ないんだから、3食くらいきちんと食べろよな・・・」

「はは・・・ハニーには敵わないな・・・でも、今はどうしても手が離せないんだ。手が4本欲しいくらいだよ・・・」



ジャンさんに怒られて、ベルナルドが苦笑いをしつつそれでも仕事はやめられないらしく、手は書類の上をずっと動いている。
ジャンさんは、そんなベルナルドの様子を見て何か考えているようで、用意したサンドイッチを何個か皿に取り分けると、ベルナルドのデスクに近づいた。



「仕方ねぇなぁー・・・オレが3本目と4本目の腕になってやるよ、ダーリン」

「ジャンさん?」

「あ、ジュリオは先に食べてて良いからなー?俺もここで食うからさ。
ほら、あーんしな、ダーリン」

「あ、ああ・・・悪いな、ジャン」



ジャンさんはベルナルドの隣でデスクに腰をかけると皿のサンドウィッチを一つ手に取り、一口だいにちぎってベルナルドの口に運んでやる。口の前まで運ばれたサンドウィッチをベルナルドは手を使わずそのまま食べた。

口を動かし飲み込んだタイミングで、ジャンさんはまたベルナルドの口にサンドウィッチを運ぶ。その表情はなんだかひどく嬉しそうで、ジャンさんは幸せそうにベルナルドが自分の手からサンドウィッチを食べる様子を見つめている。

その光景になんだか胸の奥が苦しくなった。なんだろう・・・今まで感じたことのないこの痛み。俺は、どこか病気なのかもしれない。

それと同時に、湧き上がってきた別の想い。



(俺もジャンさんに食べさせて貰いたい)



俺はそんな浅ましい気持ちでジャンさんを見つめていたから、きっとジャンさんはすぐ俺の視線で気づいたんだ。
俺の方を振り返り、俺の顔を見て苦笑いを浮かべた。



「なんだよ、ジュリオ?モノ欲しそうな顔して。お前も食べさせて欲しいのか?」

「はい、ジャンさん」



俺の返事にジャンさんはちょっと驚いた表情を浮かべるも苦笑いで手招きで呼んでくれる。俺はすぐにジャンさんのところまで行くと、ジャンさんは皿に残っていたサンドウィッチを手に取り、俺に笑顔で差し出してくれた。



「ほら、ジュリオ。あーん?」

「・・・いただきます、ジャンさん」



差し出されたサンドウィッチとジャンさんの笑顔にドキドキしながら、そっと口に入れる。ジャンさんの手からサンドウィッチを食べきると、ふとジャンさんの手に付いたドレッシングが目についた。何も考えず、そのドレッシングのついた指を口に含み、舌で舐め取る。



「ちょ・・・!ジュリオ・・・!おまっ」

「?すごく、おいしかったです、ジャンさん」

「・・・ま、まぁ、うまかったんなら、良いけど」



俺の言葉に、ジャンさんは苦笑いを浮かべたけど、「ホント変わってるよなージュリオって」そう言ってすぐにいつものように笑ってくれた。


ホントにおいしかったです、ジャンさん。
いつか・・・もっとジャンさんをおいしく食べてしまいたいなんて・・・言ったら怒りますか?



                                 <END>

作品名:昼食ラプソディ 作家名:サギノメ