6/27シティ新刊 BLACK LOVE HOLE
いつもの静雄なら無視を決め込むが、何か胸騒ぎにも似たものを感じ反射的に『通話』のボタンを押していた。
そして電話を切った直後、いつにも増して血相を変え、街を駆け回っていた。当ても無く、だ。
どうしようもないのに、どうしようもないから、ただ、走る、走る、走る。
さがしものはなんですか、みつけにくいものですか。
とんでもない。
街に一歩出れば何処ででも見かける。何処ででも微笑みかけている。
溢れかえっている『羽島 幽平』
だが、今静雄が走り回って血眼に探しているのは『平和島幽』彼の弟だ。
幽が忽然と消えた。神隠しにでも遭ったかのように、だ。
作品名:6/27シティ新刊 BLACK LOVE HOLE 作家名:あへんちゃん公爵