夏祭り
そんな楽しそうな様子を眺めながら俺は、制服に身を包んでいつもよりは軽い指定鞄を下げている。このいでたちは勿論学校へ行く為だ。
もう一度言うが夏休みだ。本当なら毎日毎日の辛い授業から解放されて俺も浮かれてそりゃあもうはしゃぎ回りたいくらいの筈なんだ。なんだけど。
「なんで俺はまた補習なんだ…」
高校に上がって、いつも一緒に居た二人とは別々になった。獄寺くんは俺と違って頭がいいからもっとレベルの高い学校へ。(散々俺と同じ学校にって言ってたんだけど、リボーンに説得されて渋々諦めたらしい。)山本は野球推薦でちょっと遠い学校へ。
案外あっさりバラバラになった。といっても相変わらず休みになれば一緒に遊んでるけど。
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昼から16時までみっちり授業。今日もうんざりするような宿題を出されて、行きよりも重くなった鞄をブラブラ振って歩く。夕方になっても暑い。アイスでも買おうかな。
俺はなんでこんなにダメダメなんだろう。リボーンが来てからあんなに頑張ってるのにいつまで経っても成績は悪いし運動もダメだし。背だって全然伸びない。
「はぁあー…」
俺だって、獄寺くんや山本みたいに格好良かったり人より秀でているとことかないのかなぁ。
足取り重く歩く。ふと店先のポスターが目に入った。
『納涼祭り・花火大会』
毎年行われる並盛神社の夏祭りだ。来週の土・日だなんて、もうすぐじゃないか。
一度本当に酷い目にあって以降なんとなく遠ざかっていたけど今年は行こうかな。久々に雲雀さんにも会いたいし。……巻き込まれるのはごめんだけど。
俺は思い立って鞄から携帯を取り出した。獄寺くんと山本も誘おう。別に近所に住んでるんだし今週の休みにでも直接会って言えばいいかとも思ったけど、せっかくだしメールしよう。俺は携帯のカメラでポスターを写メると二人にメールを送った。
件名:一括送信ごめん
添付:(73KB)100728_1626~01.jp
本文:来週の土日に夏祭りだって!一緒に行こうよ!
あの二人のことだからきっとOKの返信が来るだろう。
俺は夏祭りのことを考えた。金魚すくいをやって射的もやろう。きっとそういうのは得意な山本が景品をどんどんゲットして、獄寺くんが向きになって食いかかっていくだろう。それから、焼きそばとリンゴ飴は絶対買おう。考えただけでわくわくする。補習も宿題も頑張れそうだ。
一度閉じた携帯をもう一度開く。またメール画面を開いた。
宛先:XANXUS
件名:元気?
添付:(73KB)100728_1626~01.jp
本文:俺は夏休みになったけど、毎日補習で学校に行っています。
来週の土日に夏祭りと花火大会があるんだ。今度一緒に行きたいね。