ツンデレお兄ちゃん
だったら俺がなんとかすることは出来たんじゃないのか。いや、俺があいつに厳しいことを言えるわけが無い。俺はどうしてもあいつを弟として甘やかしたくなってしまうんだ。空気も読まずにあいつが暴走してとんでもないことを言い出しても、そんな様すらあいつらしくて可愛いなんて思ってしまう。
なのにあいつを前にするとつい憎まれ口ばかりきいてしまうし、あいつだっていつも…そうだ!あいつがいつも俺に喧嘩を売ってくるから!だから俺もつい喧嘩腰になってしまうんだ。マシューとフランシスも同じ兄弟で仲悪くねぇのに、なんでアルはあんな……やっぱ、俺、あいつに嫌われてるんだもんな。仕方ねぇよな…。俺、あいつと仲良くしたいのに、そもそもあいつは…。
俺、やっぱりアルのこと好きなんだ。独立して、あんな大国になっちまって、いつの間にか俺の知らないうちに立派になってたあいつ。昔みたいに仲良くしたい。だって、兄弟じゃないか。
次に会えた時にはもう少し素直に、接せられるようにしてみよう。
「もしもし、アーサーさん」
「おう、菊!久しぶりだな!どうしたんだ?」
「あの、私見てませんから。本当に見てませんから」
「え?何のことだ??」
「あの、本当に見てないですし、すぐに消しましたから」
「??だから菊、何のことだ??」
「…本当に分からないんならいいです。忘れてください。」
「??わ、分かった」
「ですが、くれぐれも、私は読んでいませんし、すぐに削除しましたから」
「あぁ…」
「では。」
後日、アーサーは日記を間違えて菊に送信してしまったことを知る。