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ランチツイート

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「みーちゃん、ご飯食べにいこか」
11時50分を指す時計を見て、ふと思いついた事を双子の姉に言えば、店内の眼鏡の陳列を直していた姉がこちらをみて、ぱちくりと瞬きを一つした。
「お昼の事?」
「そうそう。なんや、会長さんや先輩らのツイート見てたら、ようお昼にランチツイートしてはったから」
もうすぐお昼になる時計に、TL警備と言う今年から新しくはじまった青年会の仕事の最中、暇つぶしに見ていた先輩たちのツイートを思い出した。
それから、姉が仕事をしていたときにも一度。
ランチツイートを望むツイートや、先輩たちがランチツイートをした後のフォロワー達の盛り上がりを見ていると、自分もやりたくなってくる。
それに、今日は雨で店も暇だ。
気分転換にランチに行くのもいいだろう。
「いいね、ランチ。いこっか」
そんな事をつらつらと考えながらアーケードに雨の当たる音を聞いていると、姉はそう言ってにっこり笑った。




なんとなくさっぱりしたものよりもこってりしたもの、けれどガッツリじゃないものが食べたくて、姉の希望と店からの距離も考えて、近所のパスタ屋にランチに行く事にした。
近所と言う事もあってよく来るこの店のパスタは、結構気に入っている。
姉はペペロンチーノを頼み、自分はカルボナーラを頼む。
外に出てきても話す事はあまり変わらない。
でも、それでも場所を変えるだけで少し気分も変わる。
話し込んでいると、おいしそうなパスタが運ばれてきた。
パスタとスープとサラダとデザート付のランチだ。
「いただきます」
二人で手を合わせて食べようとすると、姉があっ、と声を上げる。
「みーくん、写真取らなきゃ。皆に見せてあげよう?」
「あ、そやった! 忘れとったわぁ」
ポケットに突っ込んでおいた携帯を取り出し、カルボナーラをカメラで取る。
携帯で取った画像をメールでTwitterへ送信する。
念のためにTLにアクセスして確認すると、きちんと画像が表示されていた。
「よっしゃ、これでいいやんな」
みんなの反応が楽しみで、思わずにやけながら携帯をぱたんと閉じる。
さぁ食べようとカルボナーラをフォークに巻いていると、視線を感じて顔を上げる。
前の席でにこにこと姉が笑っていた。
「どしたん、みーちゃん」
「みーくんがね、最近楽しそうやなぁって思うて」
今度はこちらがぱちくりと瞬きをする番だ。
変わらずにこにこと笑う姉に、そうやろか、と首をかしげる。
「うん、今週、ずっと楽しそう」
姉が言うなら間違いないと思いつつ、そんなに態度に出ていたのかと少し恥ずかしくなる。
「みーくん、お店が終わる頃になるとそわそわし始めるから、楽しいんだなぁって」
にこにこと、姉がさらに笑みを深くする。
「皆に話しかけられたりするの、嬉しいよね」
私も嬉しいわぁ、と言う姉に、なんや照れるな、と返しながらカルボナーラを食べる。
「やけど、確かにあんなに人に話しかけてもらえるの、初めてかもしれんなぁ」
何故か友達がいないので、普段は姉や家族とばかり話している。
だから、あれだけの人に構ってもらえるのは初めてのことで、正直嬉しかった。
「みーくん、人気者だね」
姉が笑う。
「みーちゃんもやな」
姉も、友達は少ない。
TLでは姉も色んな人に話しかけられたりしていて、そのたびに律儀に返事を返していた。
姉も嬉しかったんだということは、目の前にある笑顔から容易に想像できる。
「このお仕事、やれてよかったね」
「みーちゃん、まだ始まったばっかやで?」
6月はまだまだこれからだ。
後でランチツイートへの反応見ておかんとなぁ、と思いながら、少し冷めたカルボナーラを一口すすった。
作品名:ランチツイート 作家名:ていら