新たな旅へ。
なんだか急に眩しくなった気がして目が覚めた。
まだ重い瞼をこすって窓に目を向けると、カーテンの隙間から光が少しだけ差し込んでいるのが見えた。
朝だ。
体を起こすと、既に起きていたらしいシェリスがベッドに近付いてきた。
おはよう、と小さく囁いて頭を撫でてやると、嬉しそうに目を細めて擦り寄ってくる。
ルイシェ達はまだ眠っているようで、丸まって小さく寝息をたてていた。
しばらく起動していなかったWiiが青く光って、何かお知らせがきていることを示している。
たくさんありすぎて確認が少し面倒かもしれない。
そんな事を考えている間に、いつの間にかシェリスがベッドの上に乗っていて、僕の横で首をかしげていた。
いつまでたってもベッドから出ようとしないので気になったらしい。
自分の部屋。
とても見慣れた、けれどとても懐かしい部屋。
昨日までのことが夢なのではないかと思うほどに、変わりない。
しかし、そばにいるポケモン達が夢などではないのだということを教えてくれている。
そう、自分はチャンピオンになったのだ。
トレーナー達の憧れ、ポケモンリーグのチャンピオンに。
でも自分はまだ幼い。
そして、自分の世界もまだ狭い。
もっとこの広い世界を見て周りたいのだ、と。
そう言って、チャンピオンの座は辞退して帰ってきた。
僕はカントーへ行く。
リニアはダメみたいだし、船のチケットは持ってないし。
方法はまた考えるけど、できればすぐにまた旅立ちたいと思っている。
ふいに、きゅぅ、と声が聞こえて我に返った。
また動かなくなった僕をシェリスが不思議そうに見上げている。
そろそろルイシェ達も起きてくるだろう。
今になってやっとベッドから降りると、静かに戸を開けて部屋から出た。
シェリスも後ろからついてくる。
階下から美味しそうな匂いがする。
久し振りの母さんの朝ご飯だ。
でも母さんはポケモン達の好みは知らないから、シェリス達の分は自分で準備しなきゃ。
ウツギ博士が僕を呼んでいるというから行ってみたら、船のチケットをもらった。
願ってもないことだ。
博士にお礼を言って、早速出発の準備にかかる。
母さんがもう行くの?ってちょっと残念そうに言ったけど、僕が頷いたら、気をつけてね、って笑ってくれた。
僕も笑って応えた。
お昼ご飯を食べたらすぐに家を飛び出した。
いってらっしゃい、と手を振る母さんに、いってきます、って振り返して。
目指すはアサギシティ、それからクチバシティだ。
船から降りると、慣れ親しんだジョウト地方のものとは全く違う風が僕をくすぐった。
目を閉じてその風を感じて。
それから大きく息を吸い込んで、ゆっくりとはきだす。
目を開けて前を見ると、シェリスが振り返って僕をじっと見つめていた。
「…、行こっか!」
嬉しそうに鳴いたシェリスと一緒に駆け出した。
未だ見ぬ地、新しい冒険。
僕はまた、挑戦者になる。