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For one Reason

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 もうひとつだけ、もうひとつだけ真紀の指示を耳元に伝えて、ドットはするりと床へと抜ける。一階下の非常階段で待っていた真紀の下へと戻る。
「レムはなんだって?」
『同意した』
「・・・よし、それなら後は火口確保が難所ね」
『その前にどうやって火口を犯人だと断定するんだ』
 しばし無言で唸った真紀は、いーこと思いついたーと棒読みした。
『どうするんだ』
「フ、あの面倒な恋愛に比べればヘでもないわ」
 無言になった死神とともに、真紀は足取り軽く階段を下りていく。


 あのマネージャーは始末した。
 ミサミサの採用もほぼ決定だ。
 警察がヨツバを疑っているわけもない。完璧だ。
「ひーぐちさん」
 渋滞に捕まっていた車の窓をコンコンとノックされているのに気がついて、火口は横を見る。笑顔で手を振っていたのはたしか海砂の新しいマネージャーだ。
「何だ」
「ちょっとお話が。いいですか?」
「ああ、かまわんが」
 ロックを解除すると助手席に乗り込んでくる。仕事帰りなのだろうか、スーツ姿だ。
「ミサミサの件か?」
「いいえ」
 車はゆっくりと走り出す。渋滞がそろそろ解消しつつあるようだ。
「キラの件です」
「・・・キラ?」
 わざとらしいほどに時間をとって聞きなおす。そうですよ、と涼しく返した真紀は足を組む。
「あなた方は週に一回の「死の会議」を行う。そして殺す人間を決める。そしてキラがその人物を殺す」
「なっ・・・ははは、面白い話しだな」
「あなたがキラ」
 告げられた言葉は火口を動揺させた。
 なぜだ、どうやって断言を、いや、ヨツバが疑われたはずもない。いや、あのマネージャーか、まさかあの男聞いていたのか、そして話したのか。
「そんな、俺があのキラ? 冗談じゃない」
「あなたがキラ。私はそれを知っている」
「・・・で、ホントに俺だったら君は殺されるんだぜ?」
 ふふふ、と真紀は笑った。車は再び赤信号で止まる。ロックしてあったはずの鍵が開いた。
「せいぜい、逮捕状をお待ちなさいな。火口」
 にこりと笑って、真紀は車を出た。
 後ろから何か叫ぶ声が聞こえたが、気にせず。
『・・・ほんとエグいなお前』
「賞賛のお言葉ありがとう」
 薄く笑って、真紀は携帯電話を取り出すと電話口に向かって話す。
「どう、聞いた?」
『反応としては・・・40%といったところですね。火口本人がキラの可能性はなんとも言えません』
 Lの言葉に、まあそうでしょうねえと真紀は答える。
「けれど最もキラらしき人物は火口。彼の行動を待っても損はない」
『はあ・・・まあ・・・そうで』
 がしゃと音がする。Lの携帯電話を誰かが奪い取ったのだろう。
『真紀さん! あなたはなんて無茶をするんですか! 殺されるかもしれないんですよ、彼はあなたの顔も名前も知っている!』
 あははははは、と月の言葉に真紀は笑った。
「大丈夫よ月君。本名じゃないの」
『え・・・そうだったんですか』
 当たり前じゃない、と笑って真紀は会話を終了させる。ポケットに携帯電話を突っ込んで口笛を吹いた。
「さーて、せっかくここまで来たんだから寄ってきますか♪」
 一仕事終えた笑みで、通いなれた店に足を踏み入れた。


作品名:For one Reason 作家名:亜沙木