For one Reason
そちらへ向かいましょう、と言われて月は軽く息を呑む。それから何かに恥じるように視線をそらした。
「・・・・・・悪かった。僕は、やっぱり子供だ」
「そんなことはありません。たとえ犯罪者でも人命を優先する、それは月君らしい正義の表れです」
「・・・・・・僕は、死んでもいい犯罪者が存在すると思うよ。ただ・・・見過ごしたくなかった、火口は。きちんと法で裁きを受けてほしい」
私は少し違います、とLは答えて舵を切った。
「私は真相がわかればそれでいいです」
「竜崎・・・」
何か言いたげな月の視線を受けて、Lは彼のほうを向くとこういった。
「だから私の傍にいてください、月君。私には君が必要ですから」
しんみりと響いたLの言葉に、ワタリは無言で目を閉じ、真紀はちゃっかり携帯電話に録音していた。
そして無言の二人に代わって、あきれ果てた声になった月がなんとか突っ込んだ。
「・・・・・・・・・お前、それはこういう状況下で言うことか?」
作品名:For one Reason 作家名:亜沙木