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Romanの夢

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「Bon soir,monsieur Hiver(ボンジュール,ムッシュー イヴェール)」





朝焼けのような色をしたドレスに
同じ色の瞳
金の長い髪が揺れ
1人の少女が呟いた





「Bon soir,monsieur Hiver(ボンジュール,ムッシュー イヴェール)」





夕暮れのような色をしたドレスに
同じ色の瞳
金の長い髪が揺れ
もう1人の少女も呟いた





2人の少女の顔や出で立ちは
瞳とドレスの色の違い以外では
ほんど見分けをつけることは出来ないであろう

そんな双子の少女が

"Hiver"と語りかけた主に深く頭を下げた。






「おはよう、Violette(ヴィオレット),Hortensia(オルタンシア)」






ふわりとした白髪の髪を一つに束ね
赤と青の瞳の下には
太陽と月の模様

胸のリボンに紅く光る大粒の宝石は
飢えた獣のように
人を魅了させる色を放っている。


恭しく礼をした双子の少女達に
"Hiver"は微笑み
優しく少女達の名を呼んだ





「今日は一体
どんな"Hiver"が生まれ
どんな"Hiver"が死んでゆくのか」





白いその世界には
窓は無い

イヴェールは一度遠くを見た後
ヴィオレット、オルタンシアに視線を戻し
呟くように言った





「僕の代わりに廻っておくれ

可愛い姫君達」





「「oui, monsieur(ウィ、ムシュー)」」





朝焼けの色をした紫陽花(せい)の姫君
オルタンシア

夕暮れの色をした菫(し)の姫君
ヴィオレット


2人の少女は
Romanを探すために

人の世界へと
降りた






作品名:Romanの夢 作家名:レム