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言えよ

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「お前、どっか行ってたのか?」
ため息交じりに扉から姿を現した俺に、円堂は怪訝そうに眉を寄せた。俺は首元でしっかりと結んだマントの紐を緩めて外すと、それをソファーに掛けて円堂のすぐ横に腰を下ろした。
「ああ、帝国に残してきた荷物を引き取りに行っていた」
「そっか、それ帝国の制服かー」
円堂が納得したように繁々と俺の着ている制服を覗きこむ。帝国の制服は着込み過ぎで若干暑い。俺は着ていた上着も脱ぐとそれを放り投げた。
「あ、鬼道、ちゃんと掛けないと皺になるぞ!」
「別にもう着ることはない。着たいなら着せてやってもいいが?」
不敵な笑みを浮かべるとすぐに円堂は押し黙った。冗談だ、と言うと円堂がほっとしたように緊張を解く。俺はゴーグルを外してネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを2つ開ける。
「ワイシャツの色、珍しいのな」
すっと円堂の指が俺のワイシャツに触れた。俺は顔を近づけて円堂に目線を合わす。
「それよりももっと俺に言うべき言葉があるんじゃないのか?」
かっと円堂の顔が赤く染まった。照れたように目線を逸らすので、俺はそれが気に食わなく、両手を使って顔をこちらに戻した。
「鬼道、手ぇ」
それでも俯いたまま赤い頬を晒している。俺の手を払いのけようと手を掛けるのだが、まるでその手には力が入っていない。
「円堂、言えよ」
耳元で囁く。円堂はようやく観念したようで、掴んでいた手を離した。
「かっこ、いい、です」
一瞬瞳が俺を捉えた。俺はそれに笑顔で答えながら円堂を優しく抱きしめた。
「よく出来たな、円堂」
うん、と円堂が頷くのが伝わる。とたんにそれが可笑しくなって、笑いながら円堂の頭を撫でてやった。
「お前は本当に綺麗な瞳をしている」
円堂はそれに驚いたように目を丸めた。
「鬼道の方がよっぽど綺麗だ」
真顔でそんなことを言うので、俺はちょっと照れた。困って頭を掻く俺を円堂が笑うので、俺は静かに顔を近づけて、その柔らかい頬にひとつ、口付けを落とした。
作品名:言えよ 作家名:しょうこ