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少年(きみ)の名は

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本当は、どっちなんだろうってずっと考えていたんだ。君を呼ぶことが出来ないのならそのときは ─── ・・・

「仁、」
光也に名を呼ばれてから目を合わせたことに、光也はえらく腹を立てた。
「洋燈の灯りを消さないでくれと言っているんだ」
力で捻じ伏せられているはずなのに、光也は先程から下らないことばかりを並べて一向に事に及ばせてくれようとはしない。やりたくないのなら蹴るでもなんでも好きなようにして俺の事なんか否定してくれればいいのに。俺が目線を逸らすと、光也はまたとたんに機嫌が悪くなって、終いには口角を意地悪く上げた。
「眼鏡を外してみせろよ」
「みつ? いや・・・挑戦的だね」
「色っぽいだろ?」
「ああ・・・お前、すごくいい男だ」
光也の胸に埋もれるようにして鼻を近づけたら、瀬戸と同じ石鹸の匂いがして、思わず笑いが零れた。光也に言われたとおりに眼鏡を外すと、光也は自分の着ているワイシヤツの釦をひとつふたつと外しだした。長く伸ばした後ろ髪が、複雑に頬に掛かり、唇だけを紅く艶美に映し出し、気分を掻き立てる。
「なあ、仁、名前で呼んでくれよ・・・」
既に陶酔しかけている光也には軽い言葉だったのだろう、うろたえそうになった俺は、必死で顔を覆い隠した。
「やっぱり、灯りはよそう」
有無を言わさず俺は灯りの火を吹き消した。光也が一言、あ、と言う。結局のところ、どちらかなんてわかっていない。姿形が一緒で、愛を囁くなんて、酷いよ。拷問だ。
「みつ・・・」
耳朶を甘噛みしてそう呟いた俺に、光也はくすぐったそうに笑った。
「お前、卑怯だなあ」
それがどんな声色で、どんな心情で発されたかを、考えたくはなかった。光也は言う、灯りが欲しいと。

求めた灯りの先に、何が見えるとも知らずに。( もう心が張り裂けそうだよ! )
作品名:少年(きみ)の名は 作家名:しょうこ