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チョコレート
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novelistID. 7958
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甘い

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付き合ってみて、初めて分かったこと。


佐藤くんって、とっても甘い。



僕たちが付き合ってることは、みんなには内緒。
いくらバイト仲間がみんな仲良しでも、男同士だし、

僕たち付き合ってるんだ♪

とは、簡単には言えない。
でも、佐藤くんは違うみたいで、

別にバレてもいいんじゃねぇ?

と言って、隙あらば店内でもキスを仕掛けてきたりする。
慌てふためいて佐藤くんから逃げようとすると、

顔、真っ赤だぞ。かわいいな。

と耳元で囁かれたりする。



佐藤くんと両思いになって付き合いだした頃。
バイト先のお店で顔を合わせるのが、何だか恥ずかしかった。
普通に接すればいいのは分かってるんだけど、佐藤くんに会っただけで
何だか嬉しくなってしまって、顔がにやけてしまう。
そうすると、

何笑ってんだ。

と言って、苦笑しつつも僕の頭をポンポンとたたいてくれる。
その手がとっても優しい。
そして、僕の顔を覗き込むように少し屈んで

好きだ、相馬。

と言ってくる。
僕はもう、胸がいっぱいで…!!
うん、と頷くことしか出来なかった。



その他にも、今まではフライパンが頭にぶつけられるようなことでも
優しい手で頭をぐしゃぐしゃされることになったり、蹴りが飛んでくるようなことでも
力強い腕で羽交い絞めに…っていうより強く強く抱きしめられることになったり…。
とにかく、日々佐藤くんから愛情をひしひしと感じる。



今日も、バイトの帰りは佐藤くんが車で送ってくれた。
うちの前について、車から降りようとしたとき

相馬

佐藤くんに呼び止められた。と同時に強く引っ張られて、
気付いたら佐藤くんの腕の中。
車内だからかなり窮屈で、ちょっとしんどい体勢だけど、そんなことどうでもいい。
佐藤くんに抱きしめられるだけで、もう何も考えられなくなっちゃうんだ。

佐藤くんの肩口にぎゅうっと顔をうずめて、僕も佐藤くんに抱きつく。
そうすると、ゆっくりと頭をなでてくれる。
それが合図。
僕がゆっくり顔を上げると、佐藤くんの優しい瞳に出くわす。


そして、僕らはくちづける。

それはとても甘く、優しい。
時にはついばむように、時には激しく濃厚に。
長く、長く、くちづける。


唇が離れて、名残惜しくて、佐藤くんに抱きついたままでいると

好きだ

と言って、僕をあやすように、背中に回したままの腕で、ぎゅっとしてくれる。
僕も負けずに

佐藤くん、大好き

と言って、佐藤くんをぎゅっと抱きしめる。




何だか、日々そんな感じ。

僕も大概、甘いかなぁ。


作品名:甘い 作家名:チョコレート