続く
フィンランドは深くため息をついた。視線の先にはシーランドと遊ぶスウェーデンがいる。
傍から見ると似てない親子のような様子にさらにため息をつかされる。
こっちの身にもなってほしい、僕はスーさんのことがそういう意味で好きなのに、先にそんなこと言われてしまっていたらどんなに言いづらいか。
フィンランドはそう思いつつも洗濯物を干す。こういうところも嫁といわれてしまうんだろう、と自分を情けなく思いつつも作業を続ける。
スーさんはきっと僕の気持ちに気付いていない。僕のことを嫁だなんていうけれど、そういう意味ではないだなんて僕が一番わかっている。ついぽろっと自分の気持ちを言ってしまいそうになるけれど、ぐっと我慢する。この関係が壊れてはいけないから。
本当は、スーさんを自分のものにしてしまって、誰にも渡したくない、耳元で愛を囁いて、組み敷いてやりたい気持ちだってある。正直に言うとシーランドにすら触られるのは嫌だ。
ああこの気持ちをどうしてしまおうか。自分の身にあるこの熱をいつまで保っていられるかなんてわからない。
そういう思いがぐるぐるしてしまって洗濯物を干す手も乱暴になってしまう。
フィンランドはスウェーデンのほうを向くと、ふと目があった。
さっき考えていたことのおかげでフィンランドは目を合わせるのが申し訳ないような気がして目をあわてて逸らしてしまった。
スウェーデンもすぐ目を逸らされるなんて何事だろうと思ったのだろう、フィンランドのほうへ近づいてくる。
どうした?と聞かれても困る、あなたのことだなんて口が裂けても言えない、だからなんでもないです。とフィンランドは食い下がった。
そうか、とスウェーデンは言った。あなたのその見透かすような瞳が苦手で大好きなんだとフィンランドは思った。
この、危うくて、不安定で、揺らがない、矛盾した関係がこのまま続いていくのだと思うと、フィンランドの胸の熱はさらに熱くなった。