もしも
頭が痛い。
息が止まる。
ねえシズちゃん、俺以外に笑顔を見せないでよ、と彼からの攻撃から逃げながら言うと、「俺がいつ手前に笑いかけた」と鼻で笑いながら教室にあった机を投げてきた。
俺はそれを華麗によけると、だよねえ、と微笑む。少し、目頭が熱くなった。
ああ、やっぱり俺は嫌われているんだなあ。
なんて改めて思った。
「手前はよ、嫌われたくねえんだろ。でも、嫌われて当然のような事を平気でするよなあ。」
屋上で、シズちゃんが呟いた言葉。
俺は何も言えないでいるとシズちゃんはそのまま寝てしまった。
俺は、1人で、静かに、泣いた。
「わかった。」
朝、教室に入るなり、一目散に俺のところに来たシズちゃん。
何事だと思って目を瞠ると、俺以上に周りの生徒は吃驚していた。
それもそうだよな。
そいつらにとっては俺達が戦争していないなんて、有り得ないのだろう。
「なにが、」
突然腕を引っ張られ、無理矢理立たされる。
ずるずるずるずると引きずられて、辿り着いたのは、人通りの少ない狭い廊下。
何がわかったの、と呆れながら聞くと
手前の性格が悪い理由、と真顔で失礼な事を言われた。
「手前は、嫌われるのが怖いから、嫌うんだろう?」
さ、っと俺の全身から血の気が引いた。
「…冷てぇ手だな」
いつの間にかシズちゃんは俺の手を握っていた。
「俺は、手前の事嫌いだけど、嫌いにはならないから、そんな怯えんなよ。」
わしわしと頭を撫でられる。
俺が、いつ、シズちゃんに対して、怯えたのかは皆目見当もつかなかったけど、今日だけは、今だけは許してやった。
ぼたぼたと床に落ちる涙。
それを見て吃驚するシズちゃん。
五月蠅いくらいに鳴り響く俺の心臓。
もしも、この感情を恋だというなら、俺は、