雨の日
窓の外は一面灰色、まるでこの世界から、俺達以外の人間が消えたみたいだ。
世界から完璧に隔離されたこの部屋で俺達はなにをするでもなく、くっついてソファに座り、明かりすら付けず、テレビを流していた。
「暇、だな」
最初に静寂を破ったのはシズちゃんだった。
「そうかな。雨の音、気持ちいいよ…?」
ふああぁ、と1つ欠伸をつく。
それにつられてシズちゃんも欠伸をした。
それが何だか嬉しくて、1人でくすくす笑う。
「なに笑ってんだ」
あ、少し不機嫌になった。
「なんでもないよ」
ぎゅ、とシズちゃんとの距離を縮めると、シズちゃんは優しく笑って頭を撫でてくれた。
いつの間にか俺達は寄り添い合う様な格好で眠っていた。
しとしとしとしと、まだ雨はやまない。
しとしとしとしと、軽快なリズムが部屋に響く。
しとしとしとしと、それはきっと、幸せの音。