ギフト
ぽつりと呟かれた言葉に視線を落とす。
「何がだ?」
「へっ?あ、すみません…!」
僕、声に出してました?
頬を染める竜ヶ峰に心臓が跳ねた。
「あの、平和島さんぐらい背が高かったら、見える景色も違うのかなぁ…って」
「……ああ、見てみるか?」
「え、ってうわあ!?」
前から腰を抱き上げ、あまりに軽い体躯に一瞬手が強張る。
「わわ、た、高…!」
「どうだ?」
「……やっぱり、違います!平和島さんは普段こんな景色を見てるんだ…羨ましい、です」
幾分はしゃいだ様子の竜ヶ峰は珍しい。目元が赤いのは興奮しているためだろうか。不意にその朱を向けて欲しくなる。
「…やるよ」
「え?」
細い肢体を引き寄せる。眼前に迫る表情。グラス越しに見える瞳が揺らいだ。
「欲しいんだろ?この視界が」
お前にならくれてやる。
「だから」
「わ…っ」
――お前を俺にくれないか。
口唇は甘く、熱かった。