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伝われ

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謝ったらいけない気がした。相手が何よりそれを咎める顔をしていたからだ。男のダチとキスなんて本来忘れたい思い出だろう、そもそもあれはキスだろうか、いやキスに変わりはないのだが頬にするものが口になっただけの様な気がした。
 解らないけれど、音無もそうだから何も咎めないのだろうか。
 決して嫌がらせやましてからかう気持ちじゃない。ただ、誰かが傍にいることや俺が傍にいることを実感させてやりたかったのかも知れない。
「瞬発で動くとろくな事がないな」
「お前逆に女子相手だったら身構えて出来ないだろ、かけてもいい」
 そう、笑ってくれた。よかった。
 互いを見ずに横に並んで空を見上げる。今日もいつも通りに青く澄んで暖かかった。
「俺、お前が好きだよ」
「ああ」
「告白じゃねえけどさ、ずっと、大事にすっから」
 うん、ささやかに返された返事に安心する。
 まあお前がもし勘違いしてしまったなら責任は取れると冗談混じりに言えば、バーカと笑われた。
作品名:伝われ 作家名:コウジ