夜空に光る黄色
それから数秒。
大きな音が響き渡った。
「きゃっ」
そんな声と共に、正臣の腕に沙樹がしがみつく。
抱きつくではなく、しがみつく。
平素の沙樹からは想像が出来ない行動。
驚きながらも、正臣はそんな沙樹の肩を抱いた。
「んー?沙樹、雷怖い?」
「怖くないよ」
「ほんとに?」
「ほんとだよ」
むきになって答える沙樹に、正臣は苦笑する。
怖くないという言葉とは裏腹に、沙樹と正臣の密着度はどんどん上がっていた。
少し膨らんでいる頬をつつきながら正臣は沙樹に話しかけた。
「じゃあ俺、離れてもいい?」
「だ、だめ!」
「えー、怖くないならいいじゃん」
「よくない」
「なんで?」
クスクス笑いながら問いかける正臣に、沙樹はむっとした表情を返す。
そして、より強く正臣の腕にしがみついた。
「正臣と離れたくないから」
「いっつも一緒にいるじゃん」
「それでも!」
身動きが取れないくらい、沙樹は正臣の腕を自分の胸に引き寄せる。
その姿に苦笑しながら正臣は沙樹の頭を軽く撫でた。