名前を呼んで
(暴力表現を含みます)
(ツイッターの日陰bot×音無です)
(日陰とは、日向がヤンデレ化した非公式botです。この小説では日向二重人格で、そのもう一つの人格が日陰という設定になっています)
(地雷な方はバック、日陰をもっと知りたい方はフォローしてあげてください)
(どんな日音も愛せる貴女はごー)
彼は、日向じゃなかった。
自らを日陰と名乗り、愛の言葉を囁きながら俺にひたすら暴力を振るった。囁く、というよりむしろ嘔吐の勢いで溢れるような「愛してる」の言葉、死んでも死なないということの恐怖は何度もこの体に刻み込まれた。
けれど、例えこいつが日陰という存在だったとしても、見目も声も体温もなにもかもが日向なんだ。ただ、中身という決定的なところが違うだけ。
「…日向」
「だから言ってんだろ、俺は日陰」
「違う、お前は日向だ」
そう言った瞬間、いつもの日向とは違う冷たいてのひらが喉仏をなぞるように這う。そしてゆるやかに、だけど確実にその手に力が込められる。これは日陰の特徴で、どうやらじわじわと人をなぶるのが好きらしい。最低な性格だ。外見が日向だからなおさら、辛い。
「ひ、な…っ」
「俺は日陰だ」
「ぃ゙、…あっ、ぐ」
「音無、苦しいか…?」
惑わされる。これは日向じゃないのに、その愛おしむような笑みはまるで日向そのもので…けれど同時に俺を苦しめて殺そうとする指先もまた、日向であることに変わりはなかった。
「音無、俺の名前呼んで…」
「…ひなっ、日向…!」
「っ、違う!日陰って呼べよ…ッ!」
「ひぃ…あ、ひな…っ」
声が出ない、苦しい、視界が霞む。
締め上げられた喉はもう呼吸さえうまくできなくて、ただただ日向の名前を呼ぶので精一杯。だけど日陰は俺が日向と呼ぶのが気に入らないのか、縋るように日向を呼ぶたび首が圧迫される。
「…おとなし」
ひゅ、と喉が最後の悲鳴をあげ、俺の意識は混沌へ落ちていった。
視界が暗くなる前の一瞬、日陰が俺の名前を呼んでいた、その瞳いっぱいに涙を溜めながら。それがどうしてだかは分からない。もしかしたら日向の意識が目覚めたのか、どうなのか。どちらにせよ、俺に確かめる術などないのだけど。
end
♭日向の中に存在する自分を認めてもらいたい日陰と、日陰と名前を呼んだらその存在が独立してしまって日向が帰ってこないんじゃないかと不安になる音無。
よくわかんなくなりました。