「ココロ」
「ココロ」を形にして、ホラって見せることができたら、
どんなに楽だろう。
君を見るたびに、俺の心はキリキリっていって痛むから
責任を取って、俺の体からそっと取り出した
この幼い「コイゴココロ」というやつを、
そっと慰めてよ。
「どしたの?栄口?」
ふわり。と亜麻色の軟らかい物が視界を遮る。
それと同時に振る、甘い甘い声。
溶けてしまいそう。
「…『ココロ』が見えればいいのになって、考えてた。」
急に話し掛けられた俺は、情けなさマックスで、
馬鹿みたいに正直に、考えてたことをポロリと零した。
俺の言葉を聞いた水谷は、二三度ひどく驚いたように
瞬きをすると、やがてゆっくりと口を開いた。
「…それっていやだなぁ。」
困ったような、途方にくれたような苦笑いに、
俺は首をかしげる。
「見えたほうが何かと便利ってこと無い?」
「栄口とかは、さぁ。いいかもだけど、俺はだめだなぁ。」
「なんで?」
「俺の心、汚いもん。」
それならば、なぜだろう。
そういって笑った君の顔が、
何よりも綺麗だったのは。