二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

NeverMore2

INDEX|1ページ/1ページ|

 
夜も更けて、菜々子ちゃんを寝かしつけてから、堂島さんに「おやすみなさい」と言って、部屋に戻る。
部屋の中はあの頃のままで、菜々子ちゃんが掃除してくれたのか、埃っぽさも感じなかった。

明日は、菜々子ちゃんを連れて、みんなでジュネスに行く約束をしている。
だから、もう寝た方がいい。

分かっていても、視線はテレビにすい寄せられた。


もうすぐ深夜12時。マヨナカテレビの時間。


馬鹿馬鹿しい。もう向こうの世界は、霧に包まれていない。
誰かが、テレビの中に落とされることもない・・・


頭を振って、布団を敷こうとした時、


ピーガガッザー・・・


ハッとして、振り向く。
消したはずのテレビから光が漏れ、砂嵐が出現した。
画面の中、ぼんやりとした姿が浮かび上がる。
小柄な体型と、動く度にふわりと揺れる裾からして、ワンピースを着た少女らしかった。


「何で・・・」


その場から動けず、まじまじと画面を見つめていたら、少女は正面を向き、


『アキくん』


!?


反射的に、手を伸ばす。
だが、砂嵐はすぐに消え、真っ黒な画面に俺の顔が映るだけだった。


何で・・・


何が起こったのか理解できず、ぼんやりと立っていたら、


pipipipi・・・


!!


驚いて、ポケットから携帯を引っ張り出す。
画面を見れば、陽介からの着信。

「もしもし!?」
『よお!やっぱ、相棒も起きてたのか。俺も何か眠れなくってさー。遠足前日の、小学生の心境ってやつ?』


・・・・・・は?


陽介の暢気な声に、肩の力が抜けた。

「何だ、陽介か」
『何だって何だよ!俺じゃ悪いみてーじゃねーか!あ、さっきやけに慌ててたし、さては、女の子からの電話を待ってたな?誰から掛かってくる予定なんだよ。天城か?里中か?』
「そんなんじゃないって」
『ほほー。んじゃ、向こうの学校で出来た彼女だな?明日詳しーく報告な、相棒』
「だから」
『わーってるって!俺が話してたら、彼女に誤解されるもんな!じゃ、ごゆっくりー』

こちらに反論する隙も与えず、陽介からの通話が切れる。
これは、明日面倒なことになりそうだと苦笑しながら、テレビを見た。

相変わらずの真っ黒な画面。
先ほどの異変など、無かったかのように。


・・気のせい、だな。


疲れているのかもしれないと、早々に着替えて、布団に潜り込んだ。




翌日。
仕事に行く堂島さんを見送った後、菜々子ちゃんを連れてジュネスに向かう。
菜々子ちゃんはよっぽど嬉しいのか、朝からずっと、ジュネスのコマーシャルソングを口ずさんでいた。

「菜々子ちゃんは、本当にジュネスが好きだね」
「うん!お父さんがお仕事で忙しいから、あんまり行けないけど。今日は、お兄ちゃん達が一緒に行ってくれるから」
「そっか。じゃあ、今日は、いっぱい見て回ろうね」
「うん!」


ジュネスに着くと、まずはフードコートに向かう。
いつものメンバーが一角を占領していて、こちらに気づいき、手を振ってきた。

「相棒ー!菜々子ちゃーん!こっちこっちー!」
「ナナチャーン!クマの隣に座るクマよー!」
「菜々子ちゃん、先に座ってて。ジュース買ってくる」
「うん!ありがとう、お兄ちゃん!」

菜々子ちゃんは、ぱたぱたと走っていく。
その後ろ姿を見送ってから、二人分のジュースを買いに行った。

ジュースをトレイに乗せて戻ると、既にわいわいと盛り上がっている。
学年があがり、新学期が始まり、新しい環境で、新しい人間関係の中、「離れていた時間」が、雪のように静か降り積もる・・・

「で、相棒?向こうで出来た彼女って、どんな子よ?」

陽介の言葉に、我に返った。

「は?お前、何言って」
「ええー!?青葉先輩、私というものがありながら、もう他の子に手を出したんですかー?」

りせの不満げな声に、千枝が呆れた声で、

「『私というものが』って、あんた達、何時の間につき合ってたのよ」
「『もう』ってことは、前科があるのかしら?」

雪子が静かに言うと、完二が目を丸くして、

「ええ!?先輩、二股かけてたんすか!?」
「センセイなら、向こうでもモテモテに決まってるクマね!よりどりみどりクマ!」
「まあ、青葉先輩なら、二股どころじゃ済まないでしょうけれど」

クマと直斗が、とどめとばかりに言い放つ。

「・・・お前ら、俺の人権を無視するな」
「お兄ちゃん、フタマタって何?」
「菜々子ちゃんは、知らなくていい言葉」

菜々子ちゃんの前にジュースを置いて椅子に座り、陽介を睨みつけた。
だが、陽介はどこ吹く風で、

「菜々子ちゃん、今日はどこが見たい?菜々子ちゃんの行きたいとこ、全部案内してあげるからさ」
「ほんと!?あのね、菜々子ね」

菜々子ちゃんが、一生懸命見たいものを説明している間、ぼんやりと視線をフードコート内に向ける。
視界の端に、ワンピースの影が映り、はっとして腰を浮かせた。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

振り向いた菜々子ちゃんが、あっと声を上げ、

「何か落ちてるよ!」

立ち上がって、たたたっと走っていき、何かを拾い上げて戻ってくる。
差し出した手の上には、蝶の飾りがついたピンがあった。

「これ、さっきの子が落としたのかなあ?」

菜々子ちゃんの言葉に、「え?」と聞き返す。

「さっきね、ワンピース着た女の子が走ってったの。その子が落としたのかも」
「ワンピース着た女の子か。ありそうだね。どっちに行った?」

千枝が聞くと、菜々子ちゃんは「あっち」と指で示した。

「よーし、子供の足だし、追いかければ間に合うだろ。追いかけようぜ、菜々子ちゃん」
「うん!」

陽介の提案に、全員立ち上がって、菜々子ちゃんの指した方へと向かう。

「青葉先輩、何ぼーっとしてんすか。行きますよ」
「え?あ、ああ」

完二に促され、俺は、みんなの後をついていった。
作品名:NeverMore2 作家名:シャオ