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【ノマカプAPH】南国少女の悩みについて【英セ+香】

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香港が久々にイギリスの家に遊びに来た夜のことだった。
同じく遊びに来ていたうるさいアメリカや存在感のないカナダを、自分にあてられた部屋から追い出して、日付がとうに変わった頃、ちょうど彼がベッドに入った頃だった。
遠距離の移動による疲労で、彼のまぶたは自然と閉じていっていた。

やがて意識が薄らいだ頃、部屋のドアがノックされる音が聞こえたが、眠気に負けて無視を決め込んだ。
しかし、無視を続ければ続けるほど、ノックの音が大きくなるので、彼は渋々ベッドから出て、ドアを少しだけ開ける。

「誰?俺もう寝たい的な。」
「あああ、ごめんなさい。」

わずかに開けたドアの隙間から真夜中の迷惑な訪問者を確認すると、それは同じく元英領のセーシェルであった。

「こんな時間にどうした?」
「いや…ちょっと…話を聞いてもらいたくてですね…。」

セーシェルは、アメリカさんは話にならないし…とぶつぶつと言いながら、香港の部屋をちらちらと見やる。

「…まあ、とりあえず入れば?」
「お邪魔しまーす!」

たしかセーシェルはこの家の主の恋人だったはずである。
深夜に香港の部屋に入っていくのが見つかったら、またややこしいことになると分かりきったことであるが、セーシェルはそんなことには全く気付いていないのだろう。
香港はまあいいやとドアを閉める。

自宅から持ってきたお茶のセットを取りだし、セーシェルにふるまう。
セーシェルはそのお茶を飲み、ふうと一息つく。

「で、何かあった的な?」

セーシェルが嫌いなわけではないし、植民地時代からの付き合いで、会えば話もそこそこ弾むし、久々に会ったのでゆっくり話をしたい気持ちもあった。
しかし香港の眠気はもう限界であった。
面倒事は早めに済ませてしまおうと、セーシェルに話をするように促す。

「ああ、そうそう。聞いてくださいよ!」

セーシェルはそう言うと、やや乱暴にお茶を置く。

「あの眉毛が、私のことバカだって言うんですよ!」
「はあ…」
「それに、いっつもいっつも仕事があるからってデートもろくにしたことないし!嫌だって言ってもキスはしてくるのに、好きって言ってくれないし!」
「……」

そこまで言うと、セーシェルは目の前のお茶を一気に飲み干す。

「やっぱ、私と付き合ってるのは、体目的なのかなぁ…。」
「…は?」

香港の記憶では、あの自称紳士は、体目的とかそういうことは出来ないはずである。
皮肉も言いつつ、何だかんだで彼は皆を大切にしてくれて、今でもこのように時々家に招いてくれるのだ。
…まあ、そこで振る舞われる食事を考えて、行きたくないという意見がどうしても増えてしまうのが可哀想な所なのだが…。

「そんなに不安なら直接聞いてみればいい的な?」
「それは……」
「大丈夫大丈夫、俺が保証するし。」

そうこう言っている間に、廊下から、目の前の少女を呼ぶ声が聞こえてきた。
恐らく必死で気付いていないのだろうが、あの声量で呼び続けていたら、カナダなどはおろか、あのアメリカでさえ気付いてしまうだろう。
香港は明日の朝、彼らがどのような反応を示すのか楽しみだと思いながら、セーシェルの背を押してドアから出す。

「イギリスー、セーシェルはここにいる的なー。」

必死で叫ぶ背中にそう言うと、彼は駆け足でセーシェルの元へとやってきた。

「お前…何で香港の部屋から………」
「何も起きてないから安心していい的な。じゃ、セーシェル、Good Luck」

そう言って、まだ何か言いたげなイギリスの目の前で勢いよくドアを閉める。
廊下で何やら言い争いのようなものが始まったようだが、きっと大丈夫だろう。
何だかんだで元宗主国と南国の少女は上手くやっていくんだと思う。

香港はベッドの上に座り一息つき、頭上にある時計を見る。
もう二時を回っていた。
彼は唐突に自分の恋人の声が聞きたくなっていた。

向こうではもう電話をしても失礼でない時間帯になっているはずだ。
そう思って受話器を取り、すっかり覚えてしまった番号を押した。


【終】