【APH】貴方の嘘が、嫌いです【極東兄弟】
「ありがとうある、日本」
反吐が出るほど、優しい声色に心の中では酷く、吃驚した。
嗚呼、本当に、反吐が出そうだ。
だから、笑ったのだ。
「どういたしまして、中国さん」
何を考えているのかわからない、表情だと言われた。
しかし、何かを考えていなければ笑ってはいけないのだろうか。
時に、感情が著しく欠如もしくは異常なのだとも、言われる。
単純なことだ。
人は、楽しいとき、可笑しい時に笑う。
今、人の形をしている自分がその範疇に入るというなら、理由だって同じ。
可笑しいから、笑っている。ただそれだけのことに、考えなどはない。
「では、私は失礼しますね。これから色々とやらなければならないことが、山積みで」
「あ、日本!ちょっと待・・・」
掴まれたてのひら、電流のように走った激痛に思わず顔を顰めて脳天まで走った頭痛にうずくまる。
「日本!」
「だ、大丈夫です」
「大丈夫じゃねーあるよ!俄罗斯にやられたあるか!?」
「・・・・・大分、やり返しましたし」
「そんな事いってんじゃねーあるよ!ほら、見せるよろし。にーにが良く利く漢方を塗ってやるあ・・」
「大丈夫ですよ」
放っといたって、どうせ、
「死んだりなんかしないんですから」
ぱあん、と乾いた音が響く。
右腕の痛みの所為で、大分麻痺した感覚がゆっくりと伝導した。
「意味わからねーある」
「だから・・・私達は、国だから、どんなに傷ついたって死んだりなんかしな・・・」
「意味わからねーある」
ぐ、と掴まれたてのひら。またずきりと痛む、先ほどよりは鈍い。
「―・・・痛的痛的・・・丢失」
「・・・・・・・・それは、」
「おまじない、だったあるな?日本の」
いたいのいたいの、とんでけー、あるよ。
昔日本がやってくれたある、な。
にーにはちゃんと憶えているあるよ。
にーにはちゃんとわかてるあるよ。
他の国なんか知らねーある。
美国が、何を言おうが世界が何を言おうが、
日本は優しくて、いいこいいこ、ある。
にーにだけは、ちゃんとわかってるあるよ。
「・・・・ただの気休めです、よ」
「そんなことないある。我には効いたある。だから日本にも効くあるよ」
ほら、
「いたいのいたいの、とんでけーある」
「無理ですってば」
高く上げた腕、袖がずり落ちて除くその肌に仰々しく巻かれた包帯、滲む血。
( 馬鹿なんじゃないですか )
私だって知ってるんです
本当は貴方の方がずっと痛いんでしょう
私は知っているんです
貴方の吐いている馬鹿げた嘘だってお見通しなんです
貴方が、そうでるように
触れて、歪む貴方の顔をこの眼に焼付けて、嗚呼きっと笑ったら良いのだと考えて、私は涙をひとつ零しました。
いたいの いたいの とんでけ、
そして声も出さずに、祈りました。
私を賛美する貴方の嘘が 嫌いです
作品名:【APH】貴方の嘘が、嫌いです【極東兄弟】 作家名:ゆち@更新稀