サイ学SS
手を振ってサイケさんが僕の方に手を振って軽やかに歩いてくる。トレードマークのヘッドホンのコードをくるくる指に絡ませてながら。
僕はサイケさんの声で慌てて立ち上がって頭を下げる。
顔をあげれば思っていた以上に近くにサイケさんが僕の前にいた。
思わず後ずさってしまって少し距離を取る。
サイケさんは少し不思議そうに僕を見て笑った。
相変わらず可愛いねぇ、みーくん、なんてこの人なに言ってんだろうか!
サイケさんは僕の先輩に当たる人なんだけど、いつも出会うたびにからかってくる。本当に困る。
「あ、みーくん、ちょっといい?」
「え、わっ!」
いきなりサイケさんが僕のサングラスを外した。
クリアになる視界にビックリしてサイケさんが取ったサングラスを取り返そうとするけど、あははっ! って声をあげて笑ったサイケさんは腕を高くあげて笑ったまま返してくれそうにない。
しかもぐんっと僕の顔に近づけて綺麗に微笑む。
今まで色付きで見ていたサイケさんの顔がクリアに見えた。やっぱり綺麗な人。思わず体が熱くなる気がした。
こんな、クリアにサイケさん見るとかむりむりむり!!!!!
「か、返してください!」
「へぇ」
「サイケさん!」
「君、綺麗な目してるね」
「え」
「光に当たったら青色に見える。実に俺好みだよ」
「へ!」
いきなり言われたことにビックリしてサイケさんの目を見返した途端、ちゅって瞼にキスされた。
あまりにビックリして立ってられなくて座り込んでしまったら、あははかわいー! ってサイケさんが笑う。
ううう……からかわれてる。からかわれてるよ僕!!
真っ赤になった顔を抑えてたら、サイケさんは僕の前にしゃがんでサングラスを僕に付けた。
「ねぇ、みーくん」
「は、はい」
「それ、俺の前以外に外しちゃダメだよ」
「え?」
「みーくんの可愛い素顔を見れるのは俺だけってこと」
そう言って笑うサイケさんを見て僕はなにも言えずに顔を隠した。
-end-