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ぼくのスーさん。

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スーさんはぱっと見、ちょっととっつきにくそうな感じがするんですが、悪い人じゃないです。怖い人でもありません。
うそです。スーさんはちょっとじゃなくってとってもとっつきにくいです。しかも、見かけがものすごく怖い。いつも口をへの字に結んでいるし、すっごい無口。でも、口を開いたところで、お愛想なんてでてきません。それどころか・・・最近の若い子じゃ、もしかすると何をいってるかわかんないかもしれないです、訛があるんで・・・。とにかく、コミュニケーションがなかなかとれなくて・・・。ぼくはもう、ずいぶん慣れましたけど。それと、目があまりよくないんで、何かを注意して見ようとすると目を眇める癖があるんです。だから、見られた側は睨まれている見たいに感じられて、じっと見つめられるとすごい威圧感を感じちゃうんですよ。普段は何を考えているかわかんない無表情で、眼鏡をかけているせいもあってまなざしも読み取れません。でも、中身は怖いひとじゃありません。これは嘘ついていませんよ。
ぼくも国際社会の端くれとして、いろんな世界会議に出席していて、たくさんの国の人を見ているんですけど・・・どんな国の人よりもスーさんは大きいです。体が大きくて、背が高いって意味ですよ?あと、人としての器も大きいと、ぼくみたいないろんな意味でちいさい人間はつくづくと思うんです。
多分、スーさんより背がおっきい人はいると思うんです。でも、ぼくの中じゃスーさんより大きい国の人がぱっと思い浮かばないんです。多分、ぼくにとって一番大きいのがスーさんだからでしょうね。
ぼくは遠い昔、スーさんの後ろをついて歩いてました。長い長い道のりをたった二人で歩いて、ずっとスーさんの背中を見つめていました。いつの間にか、隣で並んで歩くようになったけど・・・多分、スーさんが長い足を前に踏み出すスピードを緩めて、その歩幅をせばめてくれたからだなんだと思います。何も言わずに、相手のことを慮ってくれる。
ぼくのスーさんはそういう人です。
そのままのスーさんでいてほしいです。スーさんの本質が顔に出てしまったら・・・すっごくもてちゃうじゃないですか。そうなっても、スーさんはぼくを今までとおりに大切にしてくれるのはわかってるんです。
でも、ぼくが肩身が狭いというか・・・無駄な心配をたくさんしてしまいそうだから。



スーさんは、かっこいいっていう部類に分類していいくらいにかっこいいと思います。
でも、朴訥としたその性格と同じであまり自分を飾ろうとしません。髪も、服も、靴も、小物も、お洒落にしようなんて考えがないんです。インテリアは凝るけど、自分自身のことは違うみたい。ちょっともったいないなぁって思うんです。だって、背の高さも、肩幅の広さも、胸板の厚さも、手足の長さも、同じ北欧の人種だと思えないくらいでぼくなんかはうらやましいって思うくらい完璧。八等身超。モデル並み。北方の獅子とか北欧の覇者とかっていう渾名がぴったり。名前負けしてないところがすごい。こんなたいそうな渾名なのに・・・はぁ。溜息がでちゃいう。ぼくもスーさんも髪の色はあまり変わらないんです。ぼくのほうが少し薄い色をしているかなぁって程度です。北欧では珍しい色じゃないし、けっこうどこにでもある色と髪質です。けれど、伏せていた顔を上げる瞬間、前髪からのぞく双眸の美しいことといったらないです。明度と彩度の高い青緑色の眼の色が眼鏡のガラスを通してでさえ見る人に強烈な印象を残します。透明感があるのに、あんなに鮮やか。スーさんと同じような髪の色をしている人は多いけど、あんな瞳をした人をぼくは他に知りませんね。
ぼくの知る限り、スーさんの瞳の色が世界で一番綺麗だと思います。
ただ、スーさんはお洒落に気を使わないけれど、身の回りのものの質にはすごくこだわります。自分自身が、職人気質だからでしょうね。値段じゃなくて、見かけじゃなくて、使い勝手のいいもの、質がいいものが好きなんです。だから、飾り気はないけど、素朴で自然で・・・なんていうんでしょーね、素のままで素敵なんです。
ぼくのスーさんは、そういう人です。
ぼくのスーさんはそういう人です。
さっき、スーさんお洒落すればいいのに、もっとかっこいいのにって思ったけど・・・やっぱりスーさんは今のままがいいです。
だって、今のスーさんだからぼくだけのスーさんなんですもん。


END
作品名:ぼくのスーさん。 作家名:五葉