二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

シロツメクサ

INDEX|1ページ/1ページ|

 





「銀時」












遠くの方で聞きなれた声がした

「銀時、起きろ」

驚くほどに心地のいいその声は今度はすぐ側で

「んー…」

眠たい目を無理やり開いて起き上がる

「んだよ、もう少し寝かせてくれたって…」

目の前に大きな瞳があった

「…いいだろ…」

目を開けたとたん飛び込んできたのは自分とは正反対の艶やかな髪の毛

髪を見ただけでもう誰かは分かるのだけれど

「高杉?」

なぜ彼がここに居るのかは分からなかった。



「やっと起きたなクソ天パー」

高杉は不機嫌そうに鼻を鳴らす

「なんで…なんでお前がここに居んのォ!?」

銀時は口をパクつかせて言う

だってだって今日は先生がどっかのでっかい村に用があるとか言って

朝早くから出て行ってそれを見送ってからヅラの野郎と河に遊びに行って

帰ってきて刀の手入れをしてそれで…

「寝ちまったのか…」

「何を1人でブツブツ言ってんだよ」

一瞬、そこに高杉が居ることを忘れて回想に走っていた銀時は慌てて言う。

「いや、だって何でお前、今日は先生いねぇぞ?」

銀時が慌てたのも無理はない

そりゃ高杉が遊びに来るなんて泣きたいくらい嬉しいことなのだけど

高杉がこの村塾に来るのは大抵、塾がある日か先生に用事があるときだけなのだ。

「知ってるぜぇ? 今日はその何だ、お前に用があって来たんだよ」

何か見せたいものでもあるのか高杉は後ろに手を回しニヤニヤしながら銀時を見つめる。

高杉からしてみれば銀時を馬鹿にするオモチャを手に入れ

それを早く見せてやりたいとウズウズしながら銀時の起きるのを待っていたわけだが

「俺に用…?」

銀時からすれば今の言葉はどんな理由があるにせよ、とても嬉しいことだった

(あの高杉が…先生じゃなくて俺に、俺に用があって!!!!!)

急にニコニコし始めた銀時に不満そうな顔をする高杉

「なんだよ、気色悪い笑い方しやがって」

「気色悪いってお前っそれはねぇだろ、銀さん傷ついたんですけど」

あからさまに嫌な表情をする高杉にショックをうけた銀時は言う

「大体、お前のせいでせっかくの気持ちい昼寝タイム邪魔されたんだからな、
 
 なんでそんなこと言われなきゃなんねぇんだよ」

すると高杉は後ろに回していた手を銀時に差し出した

「?」

見ると高杉の白くて小さい手の平には1本の花がのっていた

「これを俺に?」

根っこから引き抜いてきたらしく土が根にこびり付いている

コクリとうなずいた高杉に銀時は

「なんで俺に?」

「お前に似てるだろ、ソレ」

「俺に?」

「花の部分が似てるだろ」

「…」

「お前のもじゃもじゃ天パによぉ」

「…」

返す言葉もなかった

高杉が勉強する訳でも先生に会いに来たわけでもなくここに来た理由は

銀時に用があると言った理由は

「馬鹿にしてんのかァア!?」

銀時の天然パーマを馬鹿にしに来ただけだったのだ

怒声と共に高杉に掴みかかろうとした銀時に

逃げる様子もなく高杉は

「シロツメクサって言うんだとよ」

「なんか綺麗な名前だよな」

と先ほどの態度とは打って変わって静かな口調で呟く

逃げるだろうと予想していた銀時は急な話の展開に

思わず掴みかかろうとしていた腕を下ろした。

「しろつめくさ…?」

「そうだ、花言葉は感化っていうらしい」

「かんか…?」

次々に出て来る聞いた事もない言葉に銀時は混乱する

「かんかってなんだ?」

すると高杉は一瞬顔を赤らめてからスッと銀時の耳元に口をつけた

「!?」

突然のことに驚いてたじろぐ銀時を鼻で笑いながら

「シロツメクサにこめられてる意味はなぁ」

そのままつぶやかれた言葉に真っ赤になる銀時

「な…お前それって…」

「じゃぁーなー、邪魔したぜ銀時ぃ」

真っ赤になってうろたえている銀時を残して高杉は足早に去っていった。

「…なんだよ…」

高杉の居なくなった戸を見つめ銀時は呟く

「期待しちまぅじゃねぇーか」

外には夕日が浮かんでいてあぁもうすぐ先生も帰ってくるだろうなぁ

なんて思って

「アイツは結局何をしたかったんだろうなぁ」


 俺のものになって


先ほどの高杉の言葉を思い出し再度赤くなる

(言わなくたってもうなってるだろうが…)

(そんなことも気づいてねぇのか 高杉!?)

(…つーかその台詞は俺に言わせてほしかったなぁ…)


もうすぐ先生も帰ってくる頃だし夕飯の支度でもしておくかと

銀時は気持ちを切り替える

しかし

(今度は俺が慌てさせてやるからな)

(お前が真っ赤になる台詞を耳元でささやいてやる)

(覚悟しとけよ高杉)

銀時はそう決意すると台所へとかけていった


結局、大人になっても振り回されるのは銀時の方で

彼がそれでもいいと思ってしまうのは

今の銀時は知る余地もなかった








俺のものになって

それは俺が言いてぇよ

まぁ言ったところで鼻で笑われるだけだろうがな

作品名:シロツメクサ 作家名:こしろう