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NeverMore6

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side:花村 陽介


「里中!くそっ、あいつの鼻はどうなってんだよ。警察犬かってーの!」

階段を駆け上がっていく後ろ姿を追って、足を踏み出した時、

「うわああああああっ!!」

後ろから、直斗の叫び声がする。

「直斗!?」

振り返ると、直斗の体が、影に捕らわれていた。

「直斗!!」
「僕より里中先輩を!!一人では危険です!!」

伸ばした手は空しく宙を切り、直斗は影に包み込まれてしまう。

「里中先輩を追って下さい!!早く!!」
「分かった!!ぜってー助けに行くからな!!待ってろよ!!」

迷いを断ち切るように背を向け、俺も階段を駆け上がった。

「大丈夫、信じてますから」

後ろから聞こえた微かな声に、唇を噛みしめる。


絶対、絶対助けるからな!!
待ってろよ!!りせ、直斗!!




side:青葉 秋

『ごちそうさまでした』

四人で声を合わせて言うと、空になった食器を流しに運んだ。

「洗った方がいいかな、これ」
「あー、どうなんだろうな」

雪子の言葉に、首を捻る。
これが家なら、間違いなく洗っておくのだが。

「いーんじゃねーっすか?放っておけば」

完二が言うと、クマも頷いて、

「そんなことより、早くナナちゃん達を助けに行くクマね!リセちゃん達も、もう来るはずクマよ」

確かに、りせ達が合流してもいい頃だ。
こちらも大分動き回ったから、見つけるのに苦労しているかも知れないが。

「出来れば、これ以上動き回りたくないな。りせ達と早く合流したい」
「そうっすね。菜々子ちゃん達のところに行く前に、万全の体勢にしておかないと」
「お、カンジのくせに、いい事言うクマね~。カンジもやーっと頭が回るようになったクマよ」
「てめぇ!くせにってなんだよ!!くせにって!!」
「きゃー!カンジが苛めるクマー!センセイ助けて~」
「本っ当に仲いいな、お前等」

騒ぐ二人に、雪子がくすくす笑いながら、

「いつもこう。花村君と三人、本当に仲いいんだから」
「はは、目に浮かぶようだ」

苦笑しながら、前からそうだったかなと考える。
別れてから、少しずつ関係が変化して・・・


『アキくん』


ハッとして、振り向いた。
そこには誰もいない。

「青葉君?どうしたの?」
「あ、いや・・・今、声が」

その時、調理室の入り口に人影が写り、

「あーーーーーーーーー!!!こんなところにいたーーーーーー!!!!」

千枝が、仁王立ちで叫び声をあげた。

「え!?千枝!?」

驚く雪子に、千枝は駆け寄って、

「雪子!!カレーは!?」
「えっ?」
「カレーは!?カレーは何処にあんの!?」

千枝の剣幕に、クマが鍋を指さして、

「チエチャン、カレーはこっちクマ!」
「てか、里中先輩、一人っすか!?」

完二の驚いた声に、つられて入り口の扉を見る。
確かに、他のメンバーの姿が見えなかった。

「千枝、他のみんなは?一緒じゃないのか?」
「へ?」

鍋の蓋を開けて、カレーをよそおうとしていた千枝は、間の抜けた声を出して振り向く。

「え?あ、あれ?」
「陽介は?直斗は?りせは?」

畳みかけると、千枝は「あー!!」と声を上げ、

「大変なの!体育館みたいなとこでいきなり鬼が出てきて豆が爆発して影みたいのに襲われてりせがさらわれちゃったの!!」
「りせが!?それで、後の二人は?」
「追いかけたんだけど、この中ぐちゃぐちゃで、自分達が何処にいるのか分かんなくなっちゃって、直斗と偵察しようってことになったんだけど、カレーの匂いがして、それで・・・えっと・・・走って・・・きちゃった・・・」

千枝は、やっと事態が飲み込めたのか、段々声が小さくなっていった。

「はぐれたってことか」
「ご、ごめんなさい・・・」

身を縮めている千枝を責める気になれず、ぽんぽんと肩を叩くと、

「それより、千枝が無事で良かった。一人でいるところを襲われたら、大変だろ?」
「そうっすよ、里中先輩。先輩だけでも、合流できて良かったっす」
「チエチャン、心配しなくても大丈夫クマ!ヨースケにはナオチャンが付いてるから、ちゃんと追いかけてくるクマよ」

完二とクマの慰めに、千枝は顔を上げて、

「ごめん、ありがと。もうこんな無茶はしない。りせも助けなきゃだし、その前に、花村と直斗を迎えにいってあげないとね」
「そうだね。大丈夫だよ、千枝。みんながいるもん」

雪子の言葉に、千枝は「うん」と頷く。
同時に、「ぐーっ」と盛大に腹の虫が鳴いた。

「・・・ぶふっ」
「や、やだ・・・千枝ったら・・・あ、あははははは!」
「やっ!あの!こ、これは!!は、走り回ってたからで・・・ちょっと!!そんなに笑うことないでしょ!!」

顔を真っ赤にして怒る千枝に、必死で笑いを堪えながら、

「い、いや、うん。俺達も、さっき食べたところなんだ。千枝も食べておいた方がいい。空腹じゃ、力が出ないだろ?」
「そうクマね。チエチャン、カレー食べたさに、一人で突進してきたクマから」

クマがしみじみ言うと、横で完二が堪え切れずに吹き出す。

「うるっさい!!あんた達、顔面靴跡の刑にするわよ!?」
「ちょ!?暴力反対!」
「きゃー!チエチャンが怒るクマー!センセイ助けてー!」
「あー、はいはい。完二、千枝に牛乳あげて。クマ、カレーよそってあげな」
「はーいクマ♪」

笑いながら、完二とクマに指示していたら、

「うわああああああああああああっ!!!」

陽介の叫び声が聞こえた。
作品名:NeverMore6 作家名:シャオ