その下の未知の世界
目の前にいる少女にではなく、彼女が着ている服に、だ。
この春高校に進学し、制服がセーラー服へと変わったのだが、その構造が静雄にはよく分からない。
どう手をつけていいのか悩んでいる静雄に、茜はおずおずと声をかけた。
「静雄お兄ちゃん?大丈夫?」
上目遣いで、恥ずかしそうに視線を合わせてくる。
そんな茜の仕種に、静雄の緊張が上がった。
「だ、大丈夫…」
そう言いながら、茜の服に手をかけた。
まずはリボンを外す。
これはあっさりとクリア。
問題はその下。
構造の想像がつかないセーラー服だ。
前開きでもなく、横にファスナーが付いている訳でもない。
緊張しながら茜に触れ、それだけは何とか分かった。
「これって…毎日どうやって着てるんだ?」
静雄の問いに茜は微笑みながら答える。
「内緒。簡単だから教えない」
「なんでだよ」
「だって、いっぱい触ってほしいもん」
静雄が茜に触れるのを怖がり始めていたことを知ってか知らずか、そんなことを平気で口にする。
その健気さを愛しく思いながら、静雄は茜の頭を撫でた。
「またそうやって子供扱いする!」
「してねーよ」
頬を膨らませる茜に苦笑しながら答える。
女ではなく少女の顔を見せてくれる。
ただそれだけだが、静雄の緊張が解れていった。
そして気が付いた方法。
それはとても単純で、なぜ気付かなかったのか不思議なくらいだった。
「茜、ちょっと下向け」
「はーい」
そう言って、茜は首を下に向ける。
その状態を確認し、静雄は腰の辺りから服をたくし上げた。
少しずつあらわになっていく少女の肌。
心拍数と呼吸上がり、興奮していくのが自分でも分かる。
その情動を必死で理性を総動員して押さえ付ける。
そして何とか頭をくぐらせ、茜に頭を上げていいと声をかけた。
「意外と簡単でしょ?」
「…だな」
「?お兄ちゃん、なんで目、逸らすの?」
不思議そうに首を傾げる茜に、静雄は目を逸らしたまま答える。
「目のやり場に困ってんだよ」
その返しに茜は一瞬驚き、そして苦笑した。
「見てほしいから脱がせてもらったんだよ」
「おまっ…煽るようなこと言うなよ」
はあ、とため息をつきながら静雄は茜へ視線を向けた。
白い肌に柔らかそうな体つき、小ぶりな双丘。
触れたら壊れそうな茜の体は、静雄が触れることに躊躇する要素ばかりだ。「お願い」
頬を染めながらの言葉に、理性の糸が切れるのが分かった。
気が付けば、静雄は茜を見下ろし、茜は静雄を見上げる体勢になっていた。
「何するか分かんねーぞ」
「うん」
「途中で止まれる自信、ねーからな」
「うん」
静雄の言葉に茜は嬉しそうに頷く。
「大丈夫、私はそんな簡単に壊れたりしないから」
そう言って、茜は静雄に微笑んだ。